第19部(3)
仲直り、しましょ??
第19部 ―砂漠の神殿―(3)
テューサは目を覚ました。辺りはまだうす暗かったが、確実に太陽は昇り始めている時刻だった。まだ、仲間は眠っていた。
テューサは体を起こした。体を支えるために地面につき、力を入れた左腕が痛んだ。
「―――っ!!」
声にならない声をあげる。逆の掌で、傷口を包帯の上から摩る。
しばらくそうしていると、ひとり、目を覚まし、体を起こして座った。シャネラだった。
「あ・・・。おはよう」
頭を掻き、振って視界を安定させると、周りを見やって、テューサと目が合った。そのまま、緊張した趣きで声をかける。
「おはよう。シャネラにしては早いわね。珍しい」
テューサも摩る手を止め、声をかける。何か言いたいのか、シャネラは黙ったままだった。どうしたのだろう、とテューサが考えていると、シャネラは口を開いた。
「その・・・。悪かった・・・」
「え?」
語尾がだんだん小さくなっていくシャネラの言葉を聞き返そうと、ふいに声が出る。もう一度、シャネラは黙ってから、言葉を続けた。
「・・・だから! テューサに怪我させて、俺が1人で責任感じて! いや、俺が悪いんだけど!! テューサは、笑ってくれてんのに・・・」
じれったそうに、けれど遠回しに。もはやシャネラは、テューサの顔を見てはいなかった。
テューサは嬉しそうに、微笑みながら、シャネラを見ていた。顔を真っ赤に染めて、視線
を自分から外し、謝るということに慣れていないぎこちなさをかもし出している彼を。
「シャネラが責任感じることじゃないよ。私は、シャネラを助けたかったの。上手く避けきれなかっただけ。今まで、いろんなところでシャネラは私を助けてくれたわ。だから、今度は私が助けたかったの」
にっこり笑って言った。ふ、とシャネラはテューサに向き合って、「ありがとう」と小声で
言った。
「仲直りしたのー?」
ディルは起きるなりそう言った。テューサは肩で溜め息をついた。
「もともと、喧嘩はしてないわよ」
「まあ、いいんじゃない。さ、みんな起きたんだし、出発しようか」
ルビスが立ち上がりながら仲間に声を掛けた。テューサも、シャネラに助けられながら立
ち上がる。
「えぇー。あたし、朝ご飯まだなのにー?」
「起きるのが遅いお前が悪い。歩きながら食べろ」
「えぇー。王女様がそんな下品なことしていいのー?」
ぶつぶつ言いながら、ディルは結局歩きながら食べた。
ディルが食べながら思い出したように言葉を発した。
「そういえば聞いたぁ? この先に、神殿があるんだってー」
「聞いたよ。そこに行けば、全てが分かるって」
「何が分かるのかしらー。楽しみねっ」
ルビスとディルが笑いながら喋っていた。ディルが最後の一口を食べ終える。ふと、他に
も声が聞こえる気がした。
「ねぇ・・・何か、聞こえない?」
久しぶりの更新です。
もうちょっとで終わりますので、
最後までお付き合いおねがいします。