第19部(2)
ディルの、お説教タイム・・・。
第19部 ―砂漠の神殿―(2)
「おやすみ。よい夢を」
にっこりとルビスが微笑んだ。テューサも笑い返し、目を瞑るとすぐに夢の世界へおちていった。それを見計らい、ルビスとディルがシャネラの方を一斉に向いた。急な、そして突飛なその視線に、シャネラは思わずぎくりとする。ミクヤは無言で食事を貪っていた。
「・・・シャネラ。あんた笑いなさいよー・・・」
「なっ・・・」
ディルが口にした言葉に、先程よりもぎくりと焦る。今度はルビスがシャネラを責めた。
「笑ってあげなよ。テューサは、君を盗賊の一撃からかばったんだ。なのに、君がそんなにも痛々しい表情をいつまでも作ってたら、テューサは『かばってよかった』なんて思えないよ」
いつのまにか、ミクヤの食事の手も止まっていた。合計6つの目が、シャネラを映していた。シャネラは、どうしようもなく、俯いた。
「かばってもらわなくてよかったんだ・・・。冷静に、周りを見ながら闘えなかった俺が悪いんだ・・・」
「確かに、そこまで傷を負ってまでしても、冷静になれなかった自分も悪いわー。でもね、かばってくれなくてよかったなんて、言わないの!!」
ぱんっ! とディルがシャネラの頬を平手打ちした。あまりに急なことで、それよりも予
想できなかったことで、シャネラは交わすことなく、もろに張り手を喰らった。信じられ
ない、というような顔で、殴られた箇所を手で触れながら、目をうつろとさせていた。
「あたしたち、仲間なんだから! 友達なんだから!! 危険な目に合ってるのに、助けたくなるのは、当然じゃないの!? シャネラの馬鹿っ!」
両手で目を押さえながら、肩を震わせてディルはその場に泣き崩れた。それを見て、ミク
ヤはゆっくりと立ち上がり、ディルのところまで来ると、頭を撫でるようにしてあやした。
「シャネラにとって・・・ひっ・・・。あ、あたしたちは、何なのよー・・・っく・・・。シャネラの、馬鹿ぁー・・・」
何も言わず、ミクヤはディルの頭を撫で続けていた。ルビスは、微笑を浮かべながら、軽
く溜め息をつく。
「悪・・・かった・・・。俺らは・・・仲間だ・・・」
「そうだよ。まだ僕らは、知り合ってから短い時間しか隔ててないけど、立派な仲間であり、友達だ」
『大変・・・でしたね・・・』
テュクが、私の肩のことを気にして言っていた。私は、それを笑顔で返す。
「うん。でも、大丈夫よ。ねぇ、砂漠に来たけど、これからどうすればいいの?」
私は、どこを見渡しても真っ白な場所の、真っ白な地面に座り込んでいた。テュクの優しい声が木霊する。
『もう少し・・・先を進むと・・・神殿があります・・・』
「神殿?」
思わず、聞き返す。神殿って、神様を奉ってある場所のことよね。あまり身近にないから、想像も出来ないのだけれど・・・。
『そこに行けば、全てが、分かります・・・』
「全て・・・?」
『そう、全て・・・』
・・・・・・・・・・・・。
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