第16部(1)
第16部 ―ネイス国へ・・・―(1)
騒ぎが収まり、今度は座って真剣にこれからのことを考えていた。
「それで、テュクから聞いた話なんだけど、どうやってネイス国へ戻ろう?」
テューサが一度、皆に夢の中でテュクに聞いたことを話した。洞窟の中で話したが、ミクヤも加わったことで、今一度話してみることにしたのだ。
「はぁー。またあのたくさんあった島を一日ずつかけて渡れって言うのかよ・・・?」
シャネラが溜め息を吐いて、ぼやく。確かに、来たときと同じルートをたどるとなると、かなりの時間が必要だ。時間が惜しい5人にとって、この方法はかなりつらい。かといって、これ以外に渡る方法などなかった。
「ライソカス国に、船はないの? 王女様?」
ルビスは『王女』を強調して言った。もしもあるのなら、『王女』の位を利用して船を貸してもらえないかと思ったのだ。しかし、答えは呆気ない。
「ライソカス国に船はないわよ。この前お買い物をした商店街を見たら分かるでしょ? 魚介類の食べ物はなかったはず。・・・アムタワ国にも船はないよね。あったら奇跡かー」
肩を落としながら、ディルは言った。「なるほど」とルビスは納得する。二人の会話を聞き、シャネラが木刀を支えにして立ち上がった。
「泳ぐ、に決定だな・・・。そうと決まれば・・・行くぞ」
「待て」
立ち上がったシャネラに、今まで口を挟まなかったミクヤが止めた。腕を組み、あぐらをかいて座っている。
「何だよ、ミクヤ」
「ラルウィの力を借りれば・・・渡れるかもしれない」
そう言って、ミクヤは立ち上がり、自分が先程来た道を、何も言わず引き返して行った。
「僕の力?」
「ミ、ミクヤ!?」
背を向ける少年に対し、ディルが慌てて声をかける。ミクヤは何も言わずに、森へ姿を消していった。シャネラがそれを追いかけようとする。
「シャ、シャネラ待って!」
「何だよ」
シャネラの足が止まり、顔が3人の方へ向く。ディルがシャネラに駆け寄って、自分たちが座っている場所へ、強制的に連れ戻した。
「ミクヤには、何か考えがあるのよ。少しだけ、待っててあげて?」
シャネラは軽く溜め息をつき、その場に座ろうとした。
その時。
急に、4人のいる場所全体が暗くなった。大きな物の影に、覆われたような。合図も何もしていないのに、4人は一斉に、何気なく自分たちの真上の空を見上げた。全員の目が、丸くなる。
――何か・・・落ちてくる・・・?
第16部に入りました。
今のところ第19部まで完成しています。
いよいよ大詰めの場面に入ってきたかな?
これからもよろしくお願いします!
あ、まもなく1000Hit♪♪
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