表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/84

第14部(2)

すいません。前回、「目指せ700Hit」って言いましたが、800Hitの間違いでしたね・・・(汗)戻してどーする、私!!

第14部 ―暗闇の冒険―(2)


 テューサたちは、壁に手をつき、伝いながら歩いていた。灯し木の光だけでは、足元や周りを見るのに心なしか頼りない。しかし、歩き慣れているのか、ディルは手も壁に伝わせず、灯し木だけを握ってすたすたと歩いていく。足が速く感じて、何か焦っているような気がした。

 しばらく狭い一本道を歩いた。先日訪れたときと変わらず、灯りはディルの持っている灯し木だけで、辺りは真っ暗だった。テューサは暗闇に恐怖心を抱いていた。

「ルビス待って・・・っ!」

テューサの前を歩くルビスに、もう少しゆっくり歩いてもらうよう促す。

「テューサ? どうしたの?」

歩き続けながらディルは聞いた。ルビスは後ろを振り返ってくれたが、真っ暗なのでテューサの顔が見えるか見えないか際どいところだった。振り返ったルビスは、彼女のどこか怖れている表情が感じ取れた。彼女に向かって、優しく微笑む。テューサはその笑顔を見て、少し表情を和らげ、安堵の息をついた。

「真っ暗なのが怖いんだとよ。・・・ったく、俺が後ろにいるっつの」

シャネラが溜め息混じりに、ディルの質問に答えた。「何が怖いんだか」と後ろでぶつぶつとテューサに向かって言っていたが、少女にはそれを返す余裕はない。ディルは怖がってなんかいないのに、自分だけ怖がっていることに恥ずかしくなってきた。誰にも見えないが、テューサは顔を赤らめる。

「<チャールク・ネス・アーソイリー>。・・・もう大丈夫だよ、テューサ」

狭い一本道が、急に緑色に輝いた。すぐに光は消える。

「あ、ありがと・・・」

「暗闇が怖いって言ってるのに、何で自然を癒す必要があるんだよ?」

「一応、だよ。洞窟が荒れる心配もないし。こんな暗闇で洞窟に襲われたら大変だもん」

「わけわからねえな」

「喧嘩にならないでよー・・・? あ、広い所に出るけど・・・休憩する?」

先頭のディルから順に、先日ディルと出会ったあの広い場所へ出ていった。全員がいることを確かめて、

「たぶん・・・もう外は夕方だと思う。どうするー? このまま歩くー?」

体が時間間隔を覚えているのか、ディルは時刻を予想した。シャネラはその場にどかっと座り込んだ。

「疲れた。眠いんだけど」

「女の子さえまだ音を上げていないのに・・・。仕方ないわねー」

ディルもその場に座った。自分の鞄から、パンとジャムを取り出す。それを見て、ルビスとテューサも座ってご飯にすることにした。

「疲労は蓄積されるんだよ。ったく・・・」

「薪はこっちにあるわ。夜は冷えるし、焚火しよっ」

シャネラを無視し、ジャムを塗ったパンを口に銜えて立ち上がり、薪を数本持ってきた。灯し木から火を灯し、薪をくべて火を大きくする。ぱちぱちと火の粉が舞い上がった。それと同時に、暗闇で覆われていた狭い視界が、だんだん開けてきた。

「これでよしっと・・・ありゃ? シャネラもう寝ちゃったのー?」

一口パンをかじりながら、焚火を挟んだ正面に座っているシャネラを見た。頭が前に垂れ下がり、ぴくりとも動かない。

「ふう。ごちそうさまでしたッ。あたしも寝よっかな。おやすみぃ・・・」

最後の一口を口の中に放り込み、ごくりと飲み込んでから横になった。まだ食事を摂っているテューサとルビスは、ディルに声を掛けてからまた食事に没頭した。

「・・・テューサは、暗い所嫌いなの?」

唐突に、ルビスは聞いた。ぴくっといったん体を硬直させた後、テューサは口の中に入っている物を飲み込んだ。

「えっと・・・嫌いっていうか・・・言葉にするの難しいんだけど・・・。体が拒絶するって感じかな?なぜか知らないけど、怖いって思っちゃう・・・」

自分でもよく分かっていないのが、小首を傾げながら喋るテューサを見ると、よく分かった。にっこりとルビスは笑った。

「そっか。でも、皆いるから大丈夫だよ。変なこと聞いてごめんね。・・・ふわぁ。僕も眠いから寝ようかな」

欠伸の出たルビスはそう言いながら食料を鞄にしまって、横になった。

「テューサは寝ないの?」

「あ、私も寝るわ。たくさん歩いて、くたくただもの」

水を一杯飲んでから、テューサも横になった。地面は冷たくて硬かった。あまり、心地良いとは言えない。ただ、目の前には焚火があって、顔が熱かった。

「怖くない?」

「え? だ、大丈夫。隣にはディルもシャネラもいるし・・・」

「そうだね。おやすみ」

くすくす笑いながら、夜の挨拶を交わし、眠りに就いた。



何はともあれ、800Hit有難うございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ