第14部(2)
すいません。前回、「目指せ700Hit」って言いましたが、800Hitの間違いでしたね・・・(汗)戻してどーする、私!!
第14部 ―暗闇の冒険―(2)
テューサたちは、壁に手をつき、伝いながら歩いていた。灯し木の光だけでは、足元や周りを見るのに心なしか頼りない。しかし、歩き慣れているのか、ディルは手も壁に伝わせず、灯し木だけを握ってすたすたと歩いていく。足が速く感じて、何か焦っているような気がした。
しばらく狭い一本道を歩いた。先日訪れたときと変わらず、灯りはディルの持っている灯し木だけで、辺りは真っ暗だった。テューサは暗闇に恐怖心を抱いていた。
「ルビス待って・・・っ!」
テューサの前を歩くルビスに、もう少しゆっくり歩いてもらうよう促す。
「テューサ? どうしたの?」
歩き続けながらディルは聞いた。ルビスは後ろを振り返ってくれたが、真っ暗なのでテューサの顔が見えるか見えないか際どいところだった。振り返ったルビスは、彼女のどこか怖れている表情が感じ取れた。彼女に向かって、優しく微笑む。テューサはその笑顔を見て、少し表情を和らげ、安堵の息をついた。
「真っ暗なのが怖いんだとよ。・・・ったく、俺が後ろにいるっつの」
シャネラが溜め息混じりに、ディルの質問に答えた。「何が怖いんだか」と後ろでぶつぶつとテューサに向かって言っていたが、少女にはそれを返す余裕はない。ディルは怖がってなんかいないのに、自分だけ怖がっていることに恥ずかしくなってきた。誰にも見えないが、テューサは顔を赤らめる。
「<チャールク・ネス・アーソイリー>。・・・もう大丈夫だよ、テューサ」
狭い一本道が、急に緑色に輝いた。すぐに光は消える。
「あ、ありがと・・・」
「暗闇が怖いって言ってるのに、何で自然を癒す必要があるんだよ?」
「一応、だよ。洞窟が荒れる心配もないし。こんな暗闇で洞窟に襲われたら大変だもん」
「わけわからねえな」
「喧嘩にならないでよー・・・? あ、広い所に出るけど・・・休憩する?」
先頭のディルから順に、先日ディルと出会ったあの広い場所へ出ていった。全員がいることを確かめて、
「たぶん・・・もう外は夕方だと思う。どうするー? このまま歩くー?」
体が時間間隔を覚えているのか、ディルは時刻を予想した。シャネラはその場にどかっと座り込んだ。
「疲れた。眠いんだけど」
「女の子さえまだ音を上げていないのに・・・。仕方ないわねー」
ディルもその場に座った。自分の鞄から、パンとジャムを取り出す。それを見て、ルビスとテューサも座ってご飯にすることにした。
「疲労は蓄積されるんだよ。ったく・・・」
「薪はこっちにあるわ。夜は冷えるし、焚火しよっ」
シャネラを無視し、ジャムを塗ったパンを口に銜えて立ち上がり、薪を数本持ってきた。灯し木から火を灯し、薪をくべて火を大きくする。ぱちぱちと火の粉が舞い上がった。それと同時に、暗闇で覆われていた狭い視界が、だんだん開けてきた。
「これでよしっと・・・ありゃ? シャネラもう寝ちゃったのー?」
一口パンをかじりながら、焚火を挟んだ正面に座っているシャネラを見た。頭が前に垂れ下がり、ぴくりとも動かない。
「ふう。ごちそうさまでしたッ。あたしも寝よっかな。おやすみぃ・・・」
最後の一口を口の中に放り込み、ごくりと飲み込んでから横になった。まだ食事を摂っているテューサとルビスは、ディルに声を掛けてからまた食事に没頭した。
「・・・テューサは、暗い所嫌いなの?」
唐突に、ルビスは聞いた。ぴくっといったん体を硬直させた後、テューサは口の中に入っている物を飲み込んだ。
「えっと・・・嫌いっていうか・・・言葉にするの難しいんだけど・・・。体が拒絶するって感じかな?なぜか知らないけど、怖いって思っちゃう・・・」
自分でもよく分かっていないのが、小首を傾げながら喋るテューサを見ると、よく分かった。にっこりとルビスは笑った。
「そっか。でも、皆いるから大丈夫だよ。変なこと聞いてごめんね。・・・ふわぁ。僕も眠いから寝ようかな」
欠伸の出たルビスはそう言いながら食料を鞄にしまって、横になった。
「テューサは寝ないの?」
「あ、私も寝るわ。たくさん歩いて、くたくただもの」
水を一杯飲んでから、テューサも横になった。地面は冷たくて硬かった。あまり、心地良いとは言えない。ただ、目の前には焚火があって、顔が熱かった。
「怖くない?」
「え? だ、大丈夫。隣にはディルもシャネラもいるし・・・」
「そうだね。おやすみ」
くすくす笑いながら、夜の挨拶を交わし、眠りに就いた。
何はともあれ、800Hit有難うございます。