第14部(1)
第14部 ―暗闇の冒険―(1)
街を出てから、先頭立って歩くディル。テューサは彼女に聞きたいことがあった。多分、シャネラやルビスも同じことを考えていると思うが。
「・・・ディ、ディル?」
「なぁに?」
テューサの問いかけに、後ろを振り返る少女。にこやかに笑っていた。その笑顔にどこか安心した感じがした。テューサは続けた。
「これから、どこへ行くの?」
ディルはなおも笑って、テューサを見、そしてシャネラとルビスを見た。
「あたしが見つかったから、あとは最後の一人のディザードを捜したいんでしょー?」
「そ、そうなんだけど・・・」
「だーかーらぁ、あたしが居場所を知ってるんだってば」
テューサたちは彼女の放った言葉を飲み込みきれずにいた。少しの間、沈黙が流れる。
「どうしたの?」
硬直している3人に向かって、心配そうな表情をせずに聞いた。この言葉で、3人は我に返った。
「ど、どこに・・・? どこにディザードはいるの!?」
ルビスは柄でもなく、大きな声をあげてディルに尋ねた。ディルは、少し顔を歪ませて口を開いた。
「・・・あたしがいた・・・洞窟の、奥の・・・空の上」
途切れ途切れだったが、しかと聞いた3人はこれまた悩んだ。
「洞窟の、奥の、空の・・・上?」
3人が、口を揃えて言う。くすくすと、上品にディルは笑った。
「行けば分かるよ。びっくりするかもしれないけれど」
「うん・・・」
3人は、少女の後ろをついていった。洞窟に着くまで、一度もディルは3人の方を振り向かずに歩いた。口を開くこともなかった。
一行は洞窟に着いた。
「さて・・・。灯し木みたいなのある?」
入り口手前でディルは止まり、振り返って仲間に尋ねた。それを聞いてテューサが皮袋から火熾し木を出す。
「ありがとう、テューサ」
にっこり笑って、木を受け取った。そして火を熾そうとする。
「おい。女がそんなことやったら、手の平がぼろぼろになっちまうぞ」
最近無口だったシャネラが、木を持ったディルの手首を掴んだ。ディルは見上げる。
「お前、女王なんだろ? 少し大人しくしてろよ」
「シャネラ・・・。ディルは王女だよ・・・」
ルビスに訂正をくらって、少々照れくさそうにしながらも、自分が今掴んでいる手首の手の平から、火熾し木をぶん取った。ルビスは、ふう、と溜め息混じりに肩を落とした。
「ディル。乱暴だけど、シャネラは根本的に優しい男なんだよ」
ルビスの言った言葉に、くすくすと笑う少女ら。会話のネタにされている少年は、ぶつぶつ言いながら火を熾していた。熾した火を、灯し木に灯す。シャネラはそれを持って立ち上がった。
「行くぞ」
「貸して。あたしが一番歩くっ」
シャネラは素直に灯し木を渡し、先頭を歩かせた。「ちゃんと着いて来てねー?」と言って、ディルを先頭に、ルビス・テューサ・シャネラの順で洞窟に入っていった。
近づく度に言ってますけど・・・
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