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第12部(8)

第12部  ―時を癒すミヤウィザ―(8)

 

洞窟を出た一行は、入り口の目の前で輪になり、座り込んだ。

「・・・単刀直入で悪いけど、ディル。君は魔石を持っているね?」

ルビスの問いに対し、顔を縦に振った。

「あたしも、テュー・・・サ? みたいにペンダントにしてあるのっ」

首に掛かったペンダントの、中央にある真っ黒な石を手の上に乗せて見せた。

「<ルフィライ・リカバム>!」

ディルは突然呪文を唱えた。通常通り、辺りが黒色に染まるかと思いきや、石の周り半径

10cmといったところか、わずかな範囲しか染まらなかった。

「・・・あれ?」

「もっとこう・・・全体に光らねえのか?」

シャネラはディルに聞いてみた。ディルはにっこり笑って、答えた。

「あたしはミヤウィザ! 時を癒すんだよ。“時”だと癒す対象のものが物質的でじゃないもん。だから、それほど光らなくってもいいの・・・ってラーミアが言ってたわ。でも、ちゃぁんと呪文は効いてるよ。だから、この国では本当の歴史が語られているんだもん!」

ディルの説明が終わって、ルビスは溜め息をついた。

「・・・どうかしたの?」

「・・・まず、これからお城へ行って国王様や大臣殿にディルの顔を見せに行こう。・・・問題は、その後だ。最後のディザードがいる国についての情報が、全くと言っていいほど、ない」

4人目の仲間が見つかって、喜んだのも束の間。テューサとシャネラはルビスの話したこ

とを聞いて考えた。

「そうよね・・・」

「ここの王や大臣が何か知ってるんじゃねえのか?」

「いや・・・その可能性はゼロに近い。国王が知っていることは普通、側近の大臣くらいは知っているはずだし、あの大臣殿だけが知っている情報なら、この前のときに話せばよかったんだ」

3人は一気に肩を落とした。しばらく沈黙が続く。

「・・・とりあえず、お城へ行こうよ」

ディルが口を開いた。

「何だ? 国王か大臣が知ってるのか?」

「お父様も大臣も知らないよ。そんなことより行こ」

ディルは立ち上がった。それに続いて3人もしぶしぶ立った。

「じゃあ誰か、情報を持っている人がいるの?」

テューサが歩き出そうとするディルの前に立ちはだかって、聞いた。ディルがそれを避け

て前へと歩き出す。

「ディル・・・!」

言い終わるが速いか、ディルがくるりと振り返って微笑んだ。紅く長い髪が、風に(なび)いた。

「あたしが知ってるの!」

・・・・・・・・・。



第12部終了です。

第13部もお楽しみに!!

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