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第12部(6)

お姫様捜索開始!!

第12部  ―時を癒すミヤウィザ―(6)


 「こっちは急いでいるのに・・・」

珍しく、ルビスがぶつぶつと文句を言っていた。テューサがそんなルビスを心配そうにち

らちらと見ている。シャネラは相も変わらず、眠そうな顔をして、欠伸をしていた。

「こっ、これからどこへ行こうかしら!?」

重い空気に包まれ、言葉が上擦ってしまった。ルビスは、テューサが自分を気遣ってくれ

ていることに気づき、にっこり笑って詫びた。

「ああ・・・そうだったね。ごめん。今から、あの人工的な洞窟に行ってみようと思って」

ライソカスの島に初めて立った日に、見た洞窟。そこへ行ってみようと、ルビスは言って

いるのだ。

「なんで、洞窟なんだよ。森にだって、怪しいのはあったじゃねえか」

シャネラはルビスに向かって問いただした。

「森の人工的な場所はもう見たでしょ。何もなかった。食料さえもね。だから、森にはいないと思うんだ。洞窟は、暗くてよく見えなかったから調べなかったでしょ。可能性が高いんじゃないかなーと思って」

「ふーん・・・」

「それに、森で枝とかを拾っておけば、洞窟で灯りとりにもなるでしょ。あんな暗い洞窟には、人々もそうそう足を踏み入れはしない。この前見たときも不気味に思えたしね」

さすがはルビス。頭をフル回転させて、あらゆることを考え、結果を出していた。ここま

で言われたシャネラは、何も言わずに洞窟の方角へ、足を運ばせた。


 洞窟――。昼間なだけあり、以前足を運んだ時よりも中が明るく見えた。火熾し木が残

りわずかしかなかったので、3人は灯りとなるものを何も持たず、洞窟の中へ入っていっ

た。

「暗いわね・・・」

仲間の顔が見えるほどの明るさで、周りは真っ暗。その暗闇に少し怯えながら、足を前に

出していた。テューサの口からは、振るえたようなか細い声が漏れる。

「そうだね。でも・・・今のところまだ一本道だから、迷わないよ」

洞窟の狭い道を、一列で歩いていく。テューサが一番後ろで、真ん中のルビスが、手が届

いてしまうほどの両側の壁を、伝いながら歩いていた。

「そういう心配じゃねえんだろ、テューサ」

暗闇に怯えていることが、シャネラにはばれていた。テューサは何も答えなかった。

 しばらく一本道が続き、それに沿って歩いた。

「広い場所に出るみたいだぞ」

先頭を歩くシャネラが、ふいに声を出した。


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