第12部(5)
なんか少しつまらなくなっちゃったかも・・・。
でも読んでください!!!
第12部 ―時を癒すミヤウィザ―(5)
次の日、テューサ・シャネラ・ルビスは朝早くから行動を起こした。といっても、ハンナたちが畑作を営んでおり、早朝から畑へ出掛けるから、自分たちも出掛けよう。こう思っただけである。
道を歩いていると、シャネラは昨晩寝る前にもかなり寝ていたのに、テューサの隣で大きな欠伸をかましていた。テューサは、昨日ヘルグに書いてもらった地図を眺めて、一生懸命道を考えている。時折、ルビスがその地図を覗き込んでくる。
迷わずに・・・とは言えないが、早めに行き着くことが出来た。辺り一面茶色。耕した土が軟らかそうだ。その真ん中には家が一軒あった。そこが、今回の話の大元だろう。
その周りの畑に、1人鍬を持って仕事に精を出している男がいた。テューサたちはその男が何か知っていると思い、話し掛けてみることにした。近づく。
「すいません。デッドリーさんですか?」
ルビスが、ヘルグから聞いた男の名前を出して、確かめてみた。衣服が土まみれで茶色に染まり、肌は日焼けをして髪や瞳の色と変わらぬくらい赤褐色に焼けていた。そんな男は、テューサたちを怪しそうに見ていた。
「そうだが・・・あんたら・・・もしかして、城から令が出ている、リィル族3人衆か?」
「はい。確かに、私たちはリィル族です」
テューサはにっこりと微笑んで男に話し掛ける。男はせっせと働いていた手を少し休め、手の甲で額の汗を拭い取ると、テューサに向かって問い掛けた。
「・・・あんたら、最近まで居た娘のことを聞きに来たのか?」
殺伐とした言い方ではあったが、どこか優しさがこもっていた。
「え・・・。あ、はい。そうです」
先を回られていたことに、動揺するルビス。大して支障はないのだが、今までライソカスの住民たちがここに聞きに来ていて、「もう話すのは面倒だ」とでも言われるのではないかと少し焦った。しかし、そんな焦りもすぐに消え去った。それどころか、また別のことで驚かなければならなかった。
「仕方ない。ほら、あそこの家に行くぞ。中は汚いがな。茶でも飲みながら、話してやるよ」
デッドリーの家に移動したテューサたちは、城とは違い、床に直に座って、デッドリー
の入れるお茶を待っていた。・・・家の中は土まみれで、確かに汚かった。
座っていると、奥からデッドリーではない人物が顔を覗かせた。
「・・・おふくろ」
どうやら、デッドリーの母親らしかった。デッドリーはまだ30代くらいに見え、若そう
だったが、母親は痩せ衰えた感じが漂い、細々とした体だった。・・・老人に見えても仕方な
いくらい。
「お客さんかね?」
母親はテューサたちをじろじろと見ながら息子に聞いた。「ああ。」と答えながら淹れたお
茶を運ぶデッドリー。
「この前の娘のことを聞きたいんだとよ」
「ほぉ。ディーンのことをかい?」
母親が口に出した名を、3人はしかと、耳で聞き取った。お茶を飲みながらでも、ちゃん
と。そして、3人で口を揃えて言う。
「ディーン?」
「ああ、その、娘の名前がディーンっていうんだ。そりゃ可愛い娘でさ、せっせと働いてくれたんだよ」
テューサは、「『ディーン』なんて、偽名だってバレバレじゃない」と口に出しそうになっ
たのを、急いで堪えた。
「ディーンは、いくつぐらいですか?」
自分たちの仲間だと、一番簡単に手に入れられる情報を、ルビスは突いてみた。
「ちょうど、あんたらくらいだよ」
お茶をすすりながら答えるデッドリー。間髪入れずに、ルビスは質問を重ねた。
「ディーンは、どこへ行ったのですか?」
「さあ・・・知らないな。ある日、礼を言って出て行っちまったんだ」
「残念だったねえ・・・。あんないい娘なら、あんたの嫁にしとけばよかったのに」
「おふくろ!」
デッドリーの母親は、笑いながら冗談をかましていた。こっちはそれどころじゃないのに。
ルビスはそこまで聞くと、昨日の城でのように、立ち上がり、礼を言った。
「有難う御座いました。テューサ、シャネラ。行こう」
デッドリーとその母親は、呆気にとられていた。テューサとシャネラが急いで立ち上がり、
頭を下げて家を出ていった。
祝600hit〜♪♪
有難うございます!!