第12部(4)
ハンナとヘルグに情報を聞き出します。
この辺はあまり面白くないかも・・・(汗)
いやいや、やっぱしでも頑張って書いたんで読んでください!!
第12部 ―時を癒すミヤウィザ―(4)
それほど大きくない食堂に入ると、1人の赤髪の男が腕組みをして、テーブルにつき待
っていた。
「・・・遅い」
「ごめんなさい。この子の連れが寝ちゃっててね。起こそうか話し合ってたのよ」
テューサを椅子に座らせながら、ハンナは言った。
「ああ、テューサ。こっちは私の兄貴で、ヘルグっていうの。兄さん、この子はテューサよ」
ハンナが丁寧に紹介してくれた。ヘルグに対して、テューサは軽く頭を下げた。
「テューサです。よろしくお願いします・・・」
「堅苦しい挨拶はいいから、飯にしようぜ。腹が減ってるんだ」
テューサに笑顔を向けて、視線をテーブルの上の料理に向けた。カチャカチャと、音がし
て、食事が始まる。
食事が始まってすぐに、ルビスが食堂に下りてきた。
「ルビス!」
「起きたのか?」
「さ、こっちへ座って」
眠そうな顔を、一生懸命笑顔に変えていた。
「有難う御座います。・・・こちらは・・・?」
ヘルグをまだ知らないルビスは、テューサに尋ねた。
4人で食事をしながら、テューサとルビスは情報を集めた。
「あの、街で農家の事について何か噂があるそうですが・・・」
ルビスはハンナとヘルグに尋ねた。
「ええ。あるわよ。私たちも宿の経営だけで生活が成り立ってるわけじゃないからね。畑作をやってるんだ」
「近所の農家から聞いた話だがな」
「そのことについて、詳しく教えてもらえませんか」
テューサは意気込んで話の内容を頼んだ。
「ちょうど、テューサたちと同じ年頃くらいの女の子が、農家に突然現れたんだってさ。あれはいつぐらいだっけ?兄さん」
ハンナは顎に人差し指を当てながら考えていた。ヘルグは腕を組み、目を瞑っていた。
「・・・1ヶ月くらい前じゃないか?」
「そのくらいになるかしらね・・・。で、不思議なことに、その女の子、身元不明らしいんだよ。でも、その子、てきぱきとよく働いてくれたんだってさ」
「その女の子、今どこにいるか知りませんか?」
ルビスは食事を止め、話を聞き入り、疑問に思ったことを素直に聞いた。
「いや・・・。ついこの前、急にいなくなったらしいぞ」
ヘルグは続ける。
「その農家の人に、話を聞いてみたいか?」
「はい!」
テューサは元気良く返事をした。ヘルグはくすっと笑って席を立った。
「・・・待ってな。今、その人の家への地図を書いて・・・」
ヘルグの言葉が終わらないうちに、上階からどん!と物音がした。テューサは驚いたが、
すぐに食堂を飛び出し、2階へ駆け上がって部屋へ辿り着いた。
「・・・シャネラ!? どうしたの!?」
テューサの後ろからルビスとハンナが上ってきていた。シャネラは床に転がっていた。
「・・・っ。痛てぇ・・・」
「シャネラ・・・。ベッドから落ちたの?」
シャネラに駆け寄り、テューサは心配よりも真実を確かめた。
「あぁ、まあな・・・」
恥ずかしそうに言う。痛がっている背中を、テューサはさすってやった。痛みが和らいでいくのか、歪ませていたシャネラの表情が綻ぶ。
「ベッド小さいかしら?なんなら、余ってるもう1つのベッド、くっつけてもいいけど?」
ハンナが意地悪そうにシャネラに言った。苦笑いして、シャネラはそれを断った。
「・・・少年、大丈夫だったか?ほら、お嬢ちゃん。地図だ」
下で地図を書いてくれていたのか、今まで部屋に姿を見せなかったヘルグが、ハンナの後ろから顔を出した。その長い手で、テューサに紙切れを渡す。
「・・・あ、有難う御座います!」
渡された紙に書かれていることをちらりと見た後、スカートのポケットに閉まった。
「・・・さあ、改めて全員で食事をしようか」
ハンナがにっこり笑って、先頭を切り、階段を下りていった。
「腹減った・・・」
シャネラが一言呟き、立ち上がる。そして、ハンナの後を追った。残りの3人も、食堂へ向かった。