第12部(1)
誤解が解かれました・・・。ふぅ。
よかったね、三人とも!!!
第12部 ―時を癒すミヤウィザ―(1)
大臣の話を聞き終わり、宿を取るため城を後にした。警備兵が3人に向かって敬礼をする。・・・どうやら、大臣がテューサたちのことを街の者、及び城の兵士らに伝えてくれていたらしい。不思議そうに見られはするものの、軽蔑の眼差しでは見られずにすんだ。3人、ほっと心を撫で下ろす。
テューサは城を出てすぐに、もう一度街へ入る前に唱えた呪文を口に出した。いつも通り、石も声に反応して、輝く。
宿がどこにあるか分からない3人は、商店街へ入って聞き出すことにした。ついでに、『農民姫』のことも。
すると、商店街に入って間もなく、先程の勇んだ男が3人に近づいてきた。シャネラが少し用心して木刀をぎゅっと握り締める。それを隠すかのようにルビスが微笑みながら男に話し掛けた。
「・・・何か御用ですか」
ルビスが話し掛けてくるとは思わなかったのか、男は驚いた顔をしていた。しかし、すぐに口を開いた。
「・・・さっきはすまなかったな。リィル族だったもんだから、『平和』の石のことをすっかり忘れてたんだよ」
男は謝った。テューサは目を丸くしていた。シャネラはふっと木刀を持つ手の力を抜いた。
男の大きな詫びの声が辺りに聞こえたのか、商店街の人々もわらわらと出てきて、口々に
3人に向かって謝った。
「こちらこそ、真実の歴史を知らなかったものですから。・・・すみません」
ルビスは笑って、大きな声で言う。周りに集まる人々全員に届くように。そして、問う。
「申し訳ないんですが・・・宿はどこでしょうか。僕たち、長旅をしてきて疲れてるんです」
「ああ、宿ならこっちよ。旅人がいないから宿っていう宿じゃないけどね。ウチに来るといいよ」
若い女が3人に向かって手を振りながら叫んだ。空いた人込みの中の道を、テューサたち
は一列になって通る。そして、さっきの女のところへ行き着いた。
「一晩、よろしくお願いします」
「『平和』の者なら大歓迎よ! さあ、こっちよ。皆、失礼するわねー!」
女は集団にもう一度大きく手を振り、帰路についた。テューサたちも女を追いかけるよう
にして後に続く。