第11部(1)
ついに、ライソカス国に!?
第11部 ―幻の紅いライソカス国―(1)
最後の微小な孤島から、目の前にあった、それよりも遥かに大きな島へ辿り着いたテューサ・シャネラ・ルビス。ライソカス国があるかはまだ分からないが、幻と言われていた国が存在するかもしれない島が存在したことは確かだ。面積がとても広いので、国がある確率は高いとルビスはふんでいた。その言葉に、テューサもシャネラも期待を寄せる。
この島は、サリナ国・シャシル国・ネイス国の3つを兼ね備えたような島だった。天候が少し悪そうに見え、海は穏やか。木々などの自然もたっぷりと生い茂っていた。
3人が周りを見渡してみると、人工的な部分が見つかった。洞穴のようになった洞窟。森の中には葉や枝をたくさんかけて、屋根に仕立てた小屋のような建物。これらを見て、確かに人がいる気配はした。
島に着いて幾日か歩いていた。すると、街のような、集落が見えたような気がした。テューサの足は、ルビスの必死の治療で回復していた。痺れはもうない。それで、3人で歩いていると、ルビスが言った。
「あれ・・・集落じゃない?」
ルビスの指さした方向を、テューサとシャネラが見てみる。よくは見えなかったが、家の屋根と煙突らしきものは見えた。3人で顔を見合わせ、疲れきった顔が、喜びの表情でいっぱいになった。
「・・・そうかも!」
「行ってみよう!!」
シャネラの言葉が合図となり、3人は一斉に駆け出した。
先程見つけた集落の、一歩手前まで来た。距離が長かったので、3人とも肩で息をしていたが、それ以上に興奮していた。
見つかった!幻とまで言われていた国が、今、自分たちの目の前に存在している!思っていることは皆同じだった。
シャネラが、一歩先を踏み出して、集落の門をくぐろうとした。その時、テューサが彼の服を引っ張り、歩みを止めた。
「・・・ああ」
何がしたいか気づいたシャネラは、テューサを手招きして先に行かせた。テューサはシャネラににっこりと微笑んで、首に掛かっている<テュク>を両手で包んだ。一歩前に出て、目を瞑る。
「<プネマ・テルヌーラ>」
テューサの優しく囁いた呪文は、光を帯びて、街の中へと引き込まれていった。
「さ、行きましょ」
テューサはシャネラとルビスの方を振り返り、笑顔で言った。
「ああ」
「うん、行こう」
2人も少女に笑顔を返した。しかし、この笑顔はこの後すぐに消えることとなる・・・。テューサの呪文は意味を成さなかった。