表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/84

第9部(6)

第9部―いざ、孤島へ・・・―(6)


テューサが目覚めたころ、ルビスとシャネラは2つ目の島まで泳ぎきり、休憩をしてい

た。昼頃らしく、体を横にして寝かされているテューサの目には太陽の光が真上から差し込んで眩しかった。

 最初はぼやけていた視界も、すぐに回復してその目で2人を捜した。テューサが目を覚

ましたことに気づいたルビスは、駆け寄って、笑った。

「大丈夫?自分が誰だか分かる?僕の名前は?」

ルビスはすっかりテューサの主治医になっていた。後遺症のことを心配し、いろんなこと

を聞いた。テューサは起き上がらずに、笑った。

「私はテューサ。あなたはルビス。」

笑ったのはいいが、テューサは足に違和感を感じていた。右の足首が、痺れている感じ。

ルビスにこのことを言うべきかどうか迷ったが、心配させたくないことから黙っておくこ

とにした。

 テューサはもう一度辺りを見回した。シャネラがいないことに気づいた。

「・・・シャネラは?」

ルビスに聞いた。ルビスは笑って、

「昨日寝ていないからね。その辺の木陰で寝てるよ。」

と言った。「昨日寝ていない」をテューサは聞いてテュクから聞いたことを思い出した。

「あ・・・。私・・・。」

「昨日泳いでる最中に毒蛇に噛まれたんだよ。・・・覚えてる?」

テューサは首を横に振った。テュクにも言ったように、テューサは何も覚えてはいなかっ

た。

「・・・ありがとう。」

そして、薬を調合してくれたことに対し、礼を言った。

「どういたしまして。・・・どこか痛いところとか、ない?」

ルビスは優しい。気を配ってくれた。

「あ・・・えっと・・・。」

黙っておこうと思ったが、ルビスが優しく聞いてきてくれるので、痺れのことを相談して

みた。ルビスは少し悲しそうな笑顔を見せた。

「そっか。ごめんね、僕、ちゃんと治せなかった。」

「ううん。ありがとう、ルビス。あなたのおかげで死なずに済んだのだもの。・・・この痺れはいつ消えるかしら?」

テューサは笑って、ルビスを元気付けようとした。しかし、ルビスはいつものようには笑

わず、浮かない顔をしている。

「分からない・・・。多分、ただの後遺症だからすぐに治るよ。それまで、僕がおんぶしてあげる。」

「え・・・。大丈夫よ。歩けるわ。」

テューサはやっと起き上がり、立ってみた。そして、歩いてみた。突き刺さるような痺れ

が痛いのか、顔を歪めながら歩いていた。精一杯普通に歩いたつもりだったが、ルビスは

見逃さなかった。足を引きずっていることに。

 ちょうどその時、シャネラが姿を現した。

「・・・テューサ・・・。大丈夫なのか?」

振り返るテューサの瞳には、間近に立ったシャネラが映し出された。いつの間にこんなに

も近くへ来ていたのだろう。

「えっと・・・。だ、大丈夫よ。ありがとう。」

咄嗟(とっさ)に嘘をついてしまった。テューサはシャネラの肩越しに見えるルビスに、目で

合図を送った。シャネラには黙ってて、と。ルビスはそれを認識したかのように、片目を

瞑ってウインクした。ただ顔は、仕方ないなあ、と言いたげだった。

「あっ、ねえ。聞いて。話があるの。」

テューサはそう言うと、シャネラから離れてその場に座り込んだ。シャネラも座り、ルビ

スは近寄った。

「テュクが言うには、この先にミヤウィザが居るんですって。」

・・・・・・・・・。



第9部終了です。

これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ