第9部(5)
テューサが久しぶりに登場。
第9部―いざ、孤島へ・・・―(5)
「テューサを背負って海を渡れる?」
朝食を摂り終わったルビスはシャネラに聞いた。シャネラはルビスの問いに対して少し考えたがすぐに「ああ。」と返事をした。
「じゃあ、行こうか。」
ルビスは靴等を脱いで、前日と同じことをし、3人分の荷物を持って立ち上がった。シャネラはその行動に疑問を抱いた。
「・・・おい。お前そんなに持って、泳げるのかよ?」
「大丈夫。昨日泳いでみて、コツは掴んだから。それに、テューサを今危険な目に遭わせるのは嫌だからね。君は無事に次の島まで行ってほしいんだ。」
にっこり笑ってルビスは歩き出した。シャネラも立ち上がり、眠っているテューサを背負ってルビスを追った。
海に入ろうとするルビスに、シャネラは木刀を貸した。
「これ使えよ。食料が台無しになるのを、少しは防げる。」
ルビスは笑って礼を言った。そしてシャネラの靴を入れ、昨日シャネラがやったように、鞄を全部木刀に括りつけた。あっと何かを思い出したかのように、ルビスが突如顔を上げてシャネラを見た。
「海を癒してくれない?」
こくりとシャネラは頷き、腰を曲げて背中のテューサが落ちないようにした。そして、ポケットから石を取り出す。目を瞑って唱えた。
「<オールズ・シャナー>。」
いつも通り、明るく輝いて光が海を包んだ。その光が消えてからルビスは海に入った。シャネラもそれに続く。
『テューサ・・・。無事ですか・・・?』
テュクの声が聞こえた。私はなぜか声が出ない。目蓋さえ開けられない。
――私は大丈夫よ。
心の中で返事をした。それが届いたのか、テュクが話を続ける。
『心配しました・・・。良かった・・・。』
――心配?何の?
私は疑問に感じたことを素直に心の中で描いた。テュクはそれに答えてくれた。
『あなたは・・・毒性のある・・・海蛇に・・・噛まれたのです・・・.。』
――ええ!?そんな・・・私知らなかった。確かに、海を泳いでいて、足が痛くなったけど・・・。足がつったのか、溺れたのだと思っていたわ。
『ルビスが薬を作ってくれました・・・。シャネラは一晩中、あなたを看ていてくれました・・・。』
――そうだったの・・・。本当に知らなかった。目覚めたら2人にお礼を言わなくちゃ。
『良い報せです・・・。ミヤウィザは・・・この先に居ます・・・。』
私は目を瞑っているけれど、テュクが今、笑ったような気がした。
――ミヤウィザ?ああ・・・仲間ね。っていうことは・・・ライソカス国もあるってこと?
『頑張って・・・。ここである程度休んだら、目覚めなさい・・・。2人は、あなたが目覚めるのを待っています・・・。』
――うん。ありがとう。
私はテュクにお礼を言って、目覚めることにした。2人が待つ、現実へ。
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