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第7部(4)

幻の国は…?

第7部―自然を癒すラルウィ―(4)


「テューサ。君は今1人かい?」

「ううん。そこの街にウィーシャがいるわ。シャネラっていうの。」

テューサは玄関の方を指差して、街に仲間がいることを示した。テューサの話を聞きながら、ルビスは荷造りをしていた。カチャカチャと瓶と瓶とが触れ合う音を奏でている。

「・・・ということは、僕で3人目なわけか。」

「そうなるわね。」

鞄の中に一通りの荷造りを終えたルビスは、ふうと溜め息をついた。

「そしたら、これから幻の国を探さなきゃ、仲間も何もないね。」

「そうだった。2つの幻の国。どこにあるのかしら・・・?」

ふふっと笑いながらルビスは机の上の1冊の本に手を出した。たくさん(しおり)が挟んである。その印をした中の1ページを開いた。

「ここ見てごらん。」

ルビスはテューサに本を寄越した。テューサはたくさん文字の書いてある本を眺めた。しかし古字らしく、テューサには読めなかった。

「古字・・・?読めない・・・?」

素直に読めないことを主張した。ルビスはなおも笑って、

「世界地図持ってるかい?」

と優しく聞いた。「うん。」とテューサは答えると、皮袋から地図を取り出して広げた。ルビスは指で場所をなぞる。

「今はここ。それで、ネイス国の端っこ・・・。ここ。ここから幻の国、ライソカス国へ行けると書物には書いてある。」

ルビスの指が示す場所は、山々がその場所へ行かせまいとでも言うように道を取り囲んでいた。そしてよく見ると、その出っ張っている陸地から、点々と小さな小さな島とも呼べそうにない島が続いていた。しかし、そこから先は地図には記されていなかった。

「普通の地図にはここまでしか書いていない。世界でたった1つの、地図を作る地学院が、その場所を知らないからだ。僕たちのことを知る歴学院とは別々に活動しているからね。」

「だから・・・幻の国なんて呼ばれているの?」

テューサは悲しげな顔でルビスに問い掛けた。

「そうとも言える。でも、その2つの国は一切交流をしない。更に、地学院の奴らは皆、面倒臭がりで、船に乗って地理情報を確認するときも、ある程度しかしないんだ。だから人々は、本当に幻だと思っちゃうんだ。でも僕は、存在していると信じてる。」

ルビスは笑顔をやめて、テューサに初めて真剣な顔を見せた。

テューサは目を鋭くして、ルビスを見、「行きましょう。」と小声で囁いた。


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