第7部(3)
ラルウィ発見はなるのでしょうか。
第7部―自然を癒すラルウィ―(3)
「あれ?どちら様?」
梯子を伝って下りてくるテューサに向かって、驚きもせずに声をかけた。テューサは全部下りきると、ぺこっと頭を下げて詫びた。
「ご、ごめんなさい!!私、ここに住んでいる方に用事があって来たんですけど、いらっしゃらなかったみたいで・・・。」
「ここに住んでいるのは僕だよ。」
テューサの下げている頭をぽんと叩いた。テューサは頭を起こし、相手を見た。
テューサと同じくらいの年の少年。茶色の髪に蒼い瞳をしていた。シャネラと同じくらいの身長で、テューサは少し彼を見上げなければならなかった。
「で、もしかして君、『平和』の石を持つ者?」
唐突に投げられた言葉を、テューサは受け止めきれなかった。聞き返す。
「え?」
「君は・・・ウィテュードか、ウィーシャかい?」
分かりやすいように言い換えてくれた少年。テューサは目を丸くして答えた。
「え、ええ・・・。ウィテュードです・・・。」
テューサの答えに、少年はとびっきりの笑顔を返してくれた。
「そっか。じゃあ、これからよろしくね。」
テューサはこんがらがり、場面を把握できない頭を整理した。
「えっと・・・私、ここに住んでいる歴史に詳しい方を訪ねて来たんですけど・・・。」
少年は笑顔のまま話しつづけた。
「それ、僕。街のみんなから、よくそうやって呼ばれるんだ。本名はルビス・カーソン。ルビスって呼んで。」
ルビスと名乗った少年は、本に埋もれる机に向かっていった。そして、本に埋もれている机の中央に手を突っ込み、出した。ルビスの手の中には、木々の色、緑色した石が入っていた。
「これでしょ。君の探している石と人。」
石を見せながらルビスは微笑む。
「僕はルビス・カーソン。そして、ラルウィ。君のその、首から下げている石を見てすぐ分かったよ。」
ルビスはもう一度名を名乗り、一言付け加えて自己紹介をした。
だんだん状況が分かってきたテューサは、仲間が目の前にいることを改めて認識した。
「ここに来るのを待っていたんだ。待っていればいつかきっと、君が来ると思っていたからね。下手に動いてすれちがいになったら困るし。」
ルビスは笑顔をやめなかった。絶えず笑っていた。
「ルビス!ルビス!」
テューサは彼の名を何度も呼び、抱きついた。
「あはは。仲間が見つかって嬉しいんだね。」
シャネラみたいに、抱きつかれたことに騒いだりはしなかった。冷静だ。
「さて、質問するけど、君は?」
はっとテューサは思い出した。そういえばまだ名を名乗っていない。
「テューサ・レクナシア。ウィテュードよ。サリナ国から来たの。」
慌てて、ルビスから離れ、名乗った。