第7部(1)
さぁ、3人目のラルウィ探しのはじまりはじまり〜。
第7部―自然を癒すラルウィ―(1)
城下町は賑わっていた。祭とやらはまだ始まっていない様子。準備に忙しそうな人々が街中を行き交っている。あちらこちらの壁には祭の広告が貼られていた。
「・・・すごいね・・・。」
「ああ。」
「こんな中、どうやってラルウィを探そう?」
2人の目の前を横切る人々は話し掛けることも困難なくらい、早足で駆けていく。
「とにかく宿探さねえ?休もうぜ。」
重症を負っているシャネラにとって、仲間を捜すより、一刻も早く体を休めたいというのが本心だった。
「そうね。宿はどこかしら・・・?」
テューサはシャネラの体のことを思い出し、辺りを歩いて宿を探した。
宿が見つかり、2人はそこに入った。
「あら、いらっしゃい。」
女将らしき女はつんけんとした物言いで、客であるテューサとシャネラを迎えた。「泊まりたいんだけど。」と言いかけるシャネラの服の袖を引っ張って、テューサは止めた。シャネラはテューサの方を振り返り、
「どうした?」
と聞いた。テューサは何も答えず、小声で唱えた。
「<プネマ・テルヌーラ>。」
両手は、シャネラの袖から離し、ちゃんとテュクを包んでいた。ぱっと辺り一面が光る。大体事態が把握できたシャネラは今度こそ女将に告げた。
「泊まりたいんだけど。」
「お2人かい?一宿一飯で400セルトだよ。」
テューサは皮袋からお金を取り出し、代金を払った。
「毎度。ちょうど祭だし、もう一飯サービスしてやるよ。」
「ありがとう。」
女将に部屋を案内され、シャネラは早速ベッドに転がり込んだ。そして、瞬く間に寝息が聞こえ、夢の中へと誘われてしまった。
「・・・まだお昼なのに・・・。」
テューサは、眠るシャネラに毛布を掛けて呟いた。
仲間を捜しに行こうと、シャネラを部屋に置いてカウンターへ行った。
「すみません。この街で歴史に詳しい人いますか?」
まずは、情報集めから。女将の女はうーん、と考えて、言いにくそうに言った。
「そうねえ。居ると言っちゃあ居るんだけど。」
「どこに住んでいますか?」
「街外れの林の中に住んでるよ。この街へは、時々歴史書を買いにくるのさ。」
「ありがとう。」
「林の中は、邪魔な植物が濛々と生え茂っているから、行くなら気をつけな!・・・一緒にいたあの兄ちゃんは行かないのかい?」
テューサは苦笑した。
「疲れてるみたいなんです。もし私のこと聞かれたら、林へ行ってるって伝えてもらえますか。」
テューサは女将に伝言を頼んだ後、宿から出て、林へ向かった。