第6部(2)
2人は仲直りするのでしょうか・・・。
第6部―仲直りまでの道のり―(2)
『喧嘩しないでよ・・・。仲直りして・・・。』
うろたえるような声でシャーマは俺に頼んだ。俺は見えない相手に対し、どこでもいいから顔を背けた。
「あいつが勝手に怒ってんだよ。俺は悪くねえ。」
『シャネラ・・・。次に襲われたら、今度こそ死んじゃうよ・・・?』
悲しげな声が鬱陶しく聞こえた。
「だから!俺はあいつを助けようと・・・。」
『怪我を心配してくれたんだよ・・・。自分のせいで怪我をしてしまったと思ってる・・・。』
俺はシャーマとも喧嘩し、怒鳴り散らさなければならないのか。夢の中とはいえ、体中に痛みが迸る。
『現世の体の傷が開いちゃうよ・・・。』
「・・・っ!」
俺は唇を噛み、痛みを堪えた。そんな俺を見ていて、何も出来ないシャーマ。
『仲直りしてよ・・・。3人目が近いんだから・・・。』
「近いのか!?」
シャーマの言葉に、つい大声を出してしまった俺はまた痛みを堪えるため、歯を噛みしめた。
『仲直りしてくれるなら教えてあげる・・・。』
俺は癖になっているのだろうか。舌打ちをした。
「・・・しょうがねえ。起きたら、謝るから。・・・で?3人目は?」
『・・・今とは言ってない・・・。何か分かったら夢の中へ誘うね・・・。』
シャーマの悪戯っぽい笑った顔が見えた気がした。
「ちょっ・・・。おい!嘘かよ・・・!?」
俺は夢の中で眠りについた。・・・現世に戻ってゆく・・・。
テューサはテュクとの約束どおり、目が覚めたら木の幹の裏側にいるシャネラの隣へ移った。・・・寝ている。(石と逢ってるのかな・・・?)シャネラの、少し苦痛に歪んだ寝顔を見ながら、皮袋を開けて門番から貰った包帯と消毒液とタオルを取り出した。
時刻は朝。陽が山々の狭間から見えていた。
シャネラが起きないようにそっと腕を上げ、袖を包帯代わりにしたテューサのカーディガンの切れ端を取った。傷口はまだ化膿していない。自分がサリナ国から持ってきたタオルに消毒液を浸け、まだ赤いその傷をタオルで拭いた。
びくっとシャネラが体を震わす。しかし、目覚めない。テューサは手当てを続けた。
この時、シャネラはシャーマと言い争っていたのだ。
両腕・右膝・左頬・・・と同じことを何度も繰り返した。でも、包帯が足りなかった。(このままシャネラを置いていくのは心配だけど・・・。)