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序章(3)

序章  −故国出発−(3)


 サリナ城に着いた。それほど距離はないが、緊張・不安などの感情からテューサは肩で息をするほどはぁはぁ言っていた。城を守る兵隊たちに軽く頭を下げ、なおも走り続けた。階段を何回も上り・・・謁見の間。国王の前に到着した。

「・・・失礼・・・します。国王さま・・・お呼びで、しょうか」

息を切らせながら床に両膝をつき、国王の顔を伺う。隣にはお妃がいて、テューサの跪いている横にはオルマたち、発掘隊もいた。

「すまない、テューサ。単刀直入に言おう。今からお前には旅に出てもらう」

「何故ですか!?」

国王の言葉に驚きを隠せず、間髪入れずに尋ねてしまった。

「うむ・・・。大方お前を呼びに行った発掘隊から聞いただろう。お前が小さいころから持っているそのペンダントの石は・・・。<平和>の証なのだ」

「おっしゃっている意味がよく理解出来ません」

しどろもどろ話す国王に向かって、勇ましく問うた。

「昨日、発掘隊によって発見された書物には、大昔のことが書かれている。昔、荒れ果てていた自然と人間を治めるべく、神なる者が5つの宝石に魔術を込め、それらを使ってこの地に平和を築いたと書かれているのだ。そして、その魔石こそが、テューサ。お前の持っている石なのだよ」

「どうして、私の持っている石が、その魔石だと言えるのですか?」

「・・・その白い魔石には意味があってな。お前の持つ魔石の意味は<孤独>だそうだ。お前は小さいころ親に捨てられ、私が拾うまでは<孤独>だった」

「でも・・・!」

「オルマ、先程の呪文を教えてやってくれ」

オルマと呼ばれた腰の曲がった老人は、テューサの肩に手を置き、そっと言った。

「は。テューサ。<サリテュード>と唱えてごらん」

言われるまま、テューサは両手で首の石を包み込み、唱えた。

「・・・<サリテュード>!」

唱えた瞬間、テューサの手の中が白く光り輝いた。

「今のは、ウィテュードしか唱えても効果が発しない呪文だ」

驚き、戸惑っているテューサに国王が優しく言った。石はまだ光っている。

「どこにいるかはわからないが・・・。あと、4人。仲間がいるはずだ。お前はこの城下町から出たことがないからわからないかもしれないが・・・。他の国などでは、草木が枯れ、人々は争い、書物に書いてある、昔と同じようなことが起こっているのだ。一国の王として命ずる。そして、頼む。世界を救っておくれ」

「書物によりますと、他4人は、自然を癒すラルウィ。海を癒すウィーシャ。空を癒すディザード。時を癒すミヤウィザがおります。テューサは孤独を癒すウィテュードです」

オルマが付け足す。いつのまにか、手の中の石は元に戻っていた。

「・・・わかりました。私は、国王様に今まで育てていただいたお礼をしなければなりません。・・・喜んで、その命をお受け致しましょう」

テューサは立って深々と頭を下げた。

「頼んだぞ」

「はい。では、用意が出来次第、旅立つことに致します。国王様もお妃様も、発掘隊の皆様も、お元気に毎日をお過ごしください」

言い終えると、テューサは頭を上げ、くるりときびすを返し、出て行った。


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