第3部(4)
第3部 ―海を癒すウィーシャ―(4)
空が茜色に染まっている時間から話し始めて、辺りが暗くなって、お互いの顔も見えなくなるまで話した。全部聞き終わり、シャネラは唖然としていた。
「俺が?俺が、そのウィー・・・とかいうやつなのか?」
「ウィーシャ。」
「そう、それ。どこに証拠があるんだよ?」
シャネラはふてくされたような顔で言った。夜風が冷たく感じたので、テューサは火熾し木で火をつけ、焚火をした。
「だから、石が必要なの。」
「よくわかんねぇけど・・・。昼になったら家に帰るから見せてやる。」
「有難う。」
にっこり笑ってテューサは礼を述べた。温かい熱風が、海の風に負けないくらいテューサに吹きかかる。それが心地よすぎて、ふわっと欠伸をした。
「・・・私、眠っていい?寝不足・疲労蓄積その他諸々でとても疲れているの。」
「ああ。」
「・・・逃げないでね。」
自分より少し大きめのシャネラの手を握り、用心深く、テューサはそっぽを向いたシャネラの顔を覗き込んで言った。
「ち。分かったよ。早く、寝るんなら寝ろ。」
「シャネラは寝ないの?」
転がり込みながらテューサは尋ねた。
「2人で寝て、また盗賊とかに襲われたら嫌だしな。」
「見張り・・・をしてくれるの?」
「一晩だけ、守ってやるよ。」
テューサはシャネラの言葉に軽く赤面した。
「安心しろ。女1人、それも俺と同い年のような女を、見捨てる奴じゃねえから。」
更に赤面した。そして気づいた。口が上手い・・・。
「お、おやすみなさい・・・。」
「おう。」
シャネラの最後の言葉を聞いてから、目蓋を閉じた。数分もしないうちに、シャネラの隣では寝息をたて、心地よい眠りに就くテューサがいた。
久しぶりに落ち着いた眠りに就く、と語っているようなテューサの顔。シャネラはそんなテューサの頭に、繋いでいない方の手を乗せ、くすっと笑いながら海を見つめた。
「変な奴。・・・俺、この先どうなっちゃうのかなあ?」
ぎゅっと、自分の手を握り締めている、自分より小さな、細く白い手を握り返した。
・・・シャネラ、かっこいいと思いませんか??
自分で言うのもなんですが・・・。
こんなふうに言われてみたい!!とか思っちゃいます。