第3部(3)
第3部 ―海を癒すウィーシャ―(3)
急な事態に驚きを隠せないシャネラ。こいつは一体どうしたんだ?倒れてたり、同じような石を持ってたり、抱きついてきたり・・・。シャネラは戸惑いながらも、まずテューサを自分の首から離そうとした。しかし、テューサはシャネラに負けない力でぎゅっと抱きついている。
「ちょ、おい・・・。どうしたんだよ。急に・・・。」
テューサは肩を震わせていた。・・・ひっく。・・・ひっく。
「え?泣いてんの?え?俺なんかしたっけ?」
シャネラは一生懸命心当たりを探す。
「あ、この前宿屋に置いてったこと?悪かったな。大変だったろ。」
テューサはぶんぶんと首を横に振った。
「え?違うの?ちょっと・・・。おい。」
シャネラはテューサの腕を掴み、思いっきり自分の首から離した。テューサは目に涙を浮かべ、頬にそれを伝わらせていた。両手で、自分の顔を覆い隠す。
「み、つけた・・・。私の、仲間・・・。」
「仲間ぁ?」
こくこくと、今度は首を縦に振るテューサ。
「石・・・見せて?」
「今は持ってねえよ。家だ。」
呆気なく答えるシャネラは、ふうと溜め息をついた。
「海・・・好き?」
「ああ・・・まあな。」
「石・・・見たい。」
「家だ。」
「行こう?」
テューサは隠していた顔を上げ、涙を拭いてしっかりとシャネラを見る。
「げ・・・。本気?」
シャネラは嫌そうな顔をした。
「だめ?」
「う〜ん。」
考え込んでしまった。テューサは質問を変えた。
「何でこんな時間にこんなところにいるの?」
じっと見つめるテューサの緑の瞳に負け、シャネラはもう一度、溜め息をついた。
「ちぇ。話すよ。俺は、軽く家出をしてきたんだ。」
「はい?」
「俺、海は好きだけど、漁業は嫌いなんだよ。・・・臭いから。」
「・・・えーと・・・。」
「親父が手伝えってうるさいの。だから夜から明朝にかけてまで、毎日家出。シャシル国での一般的な職業は漁師なんだよ。俺は、それに成りなくない。」
「そ、そうなの・・・。」
「だから・・・。」
「無理?」
シャネラの言うセリフを、テューサが取ってしまった。
「・・・お願い。一刻を争うの。早く、他の仲間も見つけなきゃ。」
「すまん。さっきからお前の話す内容についてけないんだけど。」
確かに、まだ石のことについて一切触れていない。シャネラの要望で、テューサはゆっくりと『平和』の石について語り始めた。
自分で言うのもなんですが・・・。
シャネラ好きですっ!!