第3部(2)
第3部 ―海を癒すウィーシャ―(2)
テューサは力を振り絞って睡魔を退散させ、目をゆっくりと開けた。男は、目を開けたテューサを見て笑った。
「やっぱり。お前、この前盗賊に襲われてた奴だろ。」
おぼろげな風景で、まだ焦点が合わないテューサも、男の声を聞いて分かった。
「あなたは・・・ウィーシャ?」
「はあ?頭がおかしくなったか?そういえばこの前気絶したもんなあ。」
唐突な質問に、彼は答えてくれなかった。いや、分かるはずもないのだが。
だんだん景色が彩られ、細やかに映っていく。その間ずっと、少年はぐったりとしたテューサの頭を抱えていてくれた。(いつの間に、私はこんなにも弱っていたのだろう。)テューサは自分が情けなく思えてきた。
そして、テューサはまだぼーっとする頭でするべきことを考えた。まず最初に出てきたこと。
「あなたは・・・。」
「シャネラ・ルーキース。俺の名前だ。」
石を持っているか尋ねる前に、少年が口を挟んだ。
「シャネラ・・・。い、し・・・。」
「俺が名乗ったんだから、お前も名乗れよ。」
シャネラは他人が話しているとき、いつもこうなのだろうか。再度、口を挟み、テューサの質問を邪魔した。
テューサは仕方なく、まず自分の名を述べた。
「テューサ。テューサ・レクナシア・・・。」
テューサが名乗ると、満足げにシャシルは笑顔を浮かべた。
「そっか。で、何だ?何が言いたい?」
「こんな・・・石、持ってる?」
体調が回復して、頭がはっきりしてきたテューサは自分で起き上がり、シャネラの正面に座りなおした。そして、首から下げている自分の『平和』の石を見せながら聞いた。
シャネラはテューサの石を見て、ぴくっと、驚いたような態度を取った。
「持って・・・るかもな。そんな真っ白な色じゃなく、濃い青だった気がするけど。」
その言葉を聞いた瞬間テューサは、正面であぐらをかき、座っているシャネラの首に抱きついた。・・・やっと仲間が見つかった!!