第2部(3)
第2部 ―遭遇―(3)
首領の男の後ろから、テューサと同じ年頃の少年が木刀を持って叫んでいた。テューサも含め、その場にいた者全員が一瞬、動かなかった。首領が振り返り、少年を見て笑った。
「ははは。どんな助っ人かと思ったら。まだ全然ガキじゃないか。」
「さ、首領。行きましょうぜ。こんなガキに構ってたら日が暮れちまう。」
「ガキ、ガキとうるせえな。早くその女の子を放せよ。」
少年は盗賊に恐れを抱く様子も無く、話し続けた。
「放さないんならどうなってもしらないからな?言っとくけど、手加減はしないぜ。」
少年は言い終わると同時にその場から消えていた。首領の男の後ろに回り込んでいた。
「首領、後ろ!!」
気づいた仲間が忠告する。
「遅えよ。」
仲間が忠告した時には遅かった。木刀が振り上げられ、テューサの前で男が1人どすん、と倒れる。
「こ、このガキ。ボ、首領をやりやがったな!!」
「やっちまえ!!」
盗賊たちは一斉に少年へナイフを抜く。テューサを捕まえていた男も、首領が倒されたことにより、頭に血が昇ってテューサを放し、同じくナイフを抜いていた。少年は溜め息をついた。
「はあ。だってお前らがちゃっちゃと放さないから悪いんじゃん。」
テューサは逃げることも、言葉を発そうとも思わなかった。少年に立ち向かう盗賊たちが、次々となぎ払われていく。
「俺をナメてんの?それとも俺を誰だか知らない?」
少年は、気を失った男たちに問いかけた。もちろん返事は返ってこない。少年はふっとテューサの方を見て、言った。
「シャシル国一番の剣術使いだ。」
にやっと笑って少年は木刀を腰に戻した。それから、テューサの方へと歩み寄ってくる。ぼーっと見ていたテューサは、びくっと体を震わせてしまった。
「何?怖い?」
「あ、や、い、いえ・・・。あ、有難うございました。」
少しびくびくしながらもぺこっと頭を下げた。頭を上げると、少年はテューサの目の前に立っていた。少年はテューサより頭半分くらい身長が高かった。黒髪に、琥珀色の瞳。
「大丈夫だった?」
テューサはまた体をびくっと震わせた。にこっと笑っていた少年の顔が急に見えなくなり、目の前が真っ暗になった。・・・気絶。遠くなる意識の中、2人の声が聞こえたような気がした。
「お、おい!?」
『テューサ・・・。』
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