第2部(2)
第2部―遭遇―(2)
国境線に必ずある、関所が見えてきた。方向を間違ってはいなかった。ここを通れば仲間のいる国に行ける。仲間に逢える。
関所の門番は人柄のいい人ばかりで、テューサはほっとした。事情を話すと門番は、
「ああ、君が『平和』の石を持つ者なのかい?サリナ国の王様から書簡が届いているよ。さあ、通るといい。」
と、快くテューサを通してくれた。書簡を送ってくれた国王に感謝した。
関所を出ると、すぐに海の匂いがした・・・こんなにもサリナ国と違うなんて。テューサはしばらくの間、初めて見る壮大な美しい景色を眺めていた。果てしない地平線上の、奥の、奥の、奥の方に水平線が見える。テューサは海を見たことがなかった。川が大きくなったもの、とだけしか知識はない。西の方角には・・・地図で確認すると、砂漠がある。街まであと少し。ただ、これから立ち寄る街よりももっと海に近い街がある。仲間のいる確率は低かった。
景色を堪能したあと、テューサは歩き出した。しかし、数分も経たないうちに、テューサはテュクの言っていた大変な事態に襲われた。
「お嬢さん、怪我して綺麗な顔に傷を残したくないなら、金目の物を置いてきな。」
「なあ。そんなことしなくても、こいつを闇商人に売っちまえばいいんじゃないですか?」
世間で、盗賊と呼ばれる危険な団体に、テューサは取り囲まれた。テューサはナイフを出して、振り回しながら逃げようかと、作戦を講じたが、相手は5人くらいの多勢に無勢。更に全員男。ナイフまで持っている。
「お、そいつはいいな。結構上等な女だから、高く値がつくかもな。」
・・・私をどこかに売る気だ。テューサはそう考えると、自分を囲んでいる男たちの隙間から、縫うようにして走り出た。
「あっ!!」
男たちは隙をつかれながらも、すぐさまテューサの後を追ってくる。速い。1人の男がテューサに追いつき太い腕でテューサをがっしりと捕まえてしまった。
「きゃあっ!!」
「ふう。首領は決断を下すのがいつも遅いんすよ。」
テューサはもがいているが、男の腕は容赦なく力を入れてテューサを放そうとしない。
「うるせえな。女は捕まえれたんだし、終わりよければ全て良し、じゃねえか・・・。」
男たちに首領と呼ばれる男が仲間と話していたその時。
「お前ら、女の子に何やってんだよ!!」