序章(1)
序章 −故国出発−(1)
―ここはサリナ国。陽の光があまりあたらない、暗い土地。しかし、住人は皆明るく、優しく、活発的だ。そんなサリナ国の住人は、みんな過去を隠して生きている。誰も過去を聞こうとしないし、詮索するフリもない。そう、みんな孤児や罪人などの、何らかの理由で他の国を追放された、もしくは住めなくなったというような人々がここで生きている。住人はみんなこの地を訪れ、住人登録を済ますと、心を入れ替える。サリナ国王も、過去について咎めたりはしない。
そんなサリナ国に一人の少女が居た。
テューサ。彼女の名だ。彼女は3歳のとき、親に捨てられた。久々に街の外を散歩していたサリナ国王に、横たわっていたところを救われたのだ。15歳まで、身寄りのないテューサを養ってくれた。髪の色が金で、瞳はグリーン。姿はとても綺麗で、国民に恨まれることもなかった。そして真っ白の、綺麗なビー玉のような物を持っていた。3歳の捨てられたとき、ずっと手の中で握っていたものらしい。テューサはそれをペンダントに仕立て、いつも肌身離さず身に付けていた。
そんなテューサは、15歳の誕生パーティを開いてもらったときに、国王に告げた。
「・・・国王様、私、明日から城下町で暮らそうと思います」
「何故だ?」
いきなりのテューサの告発に、少し驚いた様子を見せた。
「私は、サリナ国の王女でも何でもありません。15歳はもう大人です。これ以上、国王様にご迷惑をお掛けすることは出来ません」
テューサは正直に自分の考えを述べた。
「別に、迷惑だとは思っていない。しかし、自分の考えがあるのなら、それに従うこともよいだろう」
「ありがとうございます」
王様の意外な返答に、内心喜びながらも、きっちり礼を述べた。
そして、この次の日から、国王が用意してくれた家で1人で暮らすことになった。隣人たちは近くでテューサが一緒に暮らしてくれることを大いに喜び、テューサにわからないことがあると、何でも快く教えてくれた。彼女はとてもよく働いていたので、城内でなくても充分な生活を送ることが出来た。
初めて投稿しました。
まだ続きは書き途中ですが、結構続きます。
これから、よろしくお願いします。
一生懸命頑張って、自分の書きたい小説を投稿したいと思います。