冬の探し物④
父上の言葉と共に、各々のメイドや執事が報告書を次々に持ってくる。
クレリデイラの兄妹は一年に一度、己の価値を証明するために報告書を書き上げる。
それは武術の出来だったり、勉学や研究、情報収集能力や暗殺の出来。
つまり己が家門にどんな貢献をしたのかを見せびらかすのものだ。それを大した興味もなさげに一通り目を通し、再び父上は口を開いた。
「……シエラン、クレオと場所を変われ。クランレス、カラム、お前たちもだ」
「僕がクレオに負けるなんて」
「ふん、お前の実力も落ちたものだな」
クレオが五位に、シエランが六位に
「俺がカラムよりも下の順位なんて……」
「だから俺の勝ちだって言っただろ!」
ほら見ろ、とでも言わんばかりのカラムとショックを受けた様子のクランレスが席を入れ替わる。
「お父様、差し出がましいかもしれませんが、十位のコーリーが来ておりません。仮にもあの子は本館の者ですから、呼んでくるべきでは?」
「ああ、実に差し出がましいことだなクリスティーナ。あれは呼ぶ必要がない、既に別館行きが決まっている」
別館行き、それはつまり、別館の兄妹に成績が負けたが故に本館からコーリーは追い出された。
それだけが兄妹に伝わった。
「……では、別館から代わりに誰か来たと? コーリーは別館に十位の座を明け渡すほど成績が落ちていたのですか?」
「成績は十分にその座を維持出来るものだったが探し物が見つかった。あれが見つかった時点でお前たちの中で価値が最も低いのはあれだったからな」
探し物、双子が昼間に言っていたものか。
しかしコーリーが下げられたということは探しものは、探し物ではなく探し者だったということか。
ざわりと食堂が騒がしくなったが気にすることなく父上は話を続ける。
「紹介しよう、十一年前の裏切り者を、愚かにもクレリデイラ家から逃げ出した女の娘、お前たちの新たな姉妹だ」
そう父上が言うと同時に、食堂の扉が開け放たれた。
扉の先にいたのは怯えた様子の少女。
一般的に可憐な容姿とでも言うべきなのだろう。
明るい茶髪に太陽のような輝く黄色の瞳。
蒲公英のような、いやどちらかといえば向日葵のような少女だ。
その庇護欲を唆る見た目は武器となるだろう。
この館に不要なものがあるとすれば見て取れる弱さだ。この館では、弱さは罪であり、この館では強さが正義なのだ。
この名も知らない少女は用意された十席の本館の座を奪うのか、それとも誰かに淘汰される弱者か。
年齢も性別も様々な、けれど此処にいることを確かに許された強者達が眼を光らせていた。
とはいえ、時は止まってはくれない。
また始まるのだ。
不毛な争い、本館の座をかけた争い。
何時も父の帰還は選別の合図だ。
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