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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

悪食令嬢と暗殺執事シリーズ

バレンタインよりも……

作者: 楠木 翡翠
掲載日:2026/02/19

【作者より】


※ 拙作は『毒親に捨てられた私は聖夜の夜に復讐という名の円舞曲を踊る(https://ncode.syosetu.com/n4923ln/)』の続編(?)にあたる内容です。

なるべく前作の内容を理解してから読むと楽しめるかと思います。


※ 人を殺める場面や死描写、グロ描写(?)といった残酷描写が含まれます。

苦手な方はご注意ください!


※ ジャンル迷子です。「ローファンタジー」? 「ホラー」?

 私は薄暗い月明かりの中、颯爽と歩いている。

 かつては依頼を受けたのだけれど、不幸なことにキャンセルが出てしまったから。


 きっとバレンタインのせいだからよ。

 女性なら気になっている男性にチョコレートをあげたいじゃない?

 人によるけれど、クリスマスの次に誰もが血(まみ)れになりなくない日じゃないのかしら?


 残念ながらクリスマスに両親を自らの手で殺めたことがある私はバレンタインのチョコレートなんて持っていないわ。

 そもそもその存在に忘れかけていたけど。


 今の私の手持ちは刃物や医療用メス、スマートフォンしか持ち合わせていないのよ。

 私からバレンタインの贈り物を受けとるのが楽しみだった方は残念ね。


 表と裏――

 何事もない平和な世界と血塗れが当たり前の世界――

 全く異なる(つい)の世界。


 私は後者の世界の人間だから、あまりクリスマスやバレンタインのようなロマンティックなイベントにはあまり興味を示さない。

 それは人による(・・・・)から私はなんともいえないわ。



 †



 人通りの少なくなった路地裏で街灯の灯りの下で告白をしている男女を見つけた。


 うっ……タイミングが悪すぎるわ……

 何処(どこ)かに隠れましょう。

 しかし、隠れる場所なんてないじゃない……

 ならば、素通りしましょう! そうしましょう!


 恋愛ドラマや漫画の知識しか持っていないけれど、好きな男性に告白をしてチョコレートを渡そうとしたとしても、彼から「ごめんなさい」と言われたら複雑よね。うん。


 あ、女性が落ち込んでいるわ……

 男性はゆっくりとした足取りでその場をあとにしているから、フラれてしまったのかしら?

 一生懸命準備したり、シミュレーションしたりしてきたものね……

 って……私、こんな時に同情しているのよ!


「お姉さん? もしかして見てた?」

「え、ええ……たまたま視界に入ってしまっただけよ」


 私が見ていたことがバレてしまった。

 隠れる場所もなければ人通りの少ないところよ!

 素通りしたくても視界に入ってくるじゃない!


「お願いがあるんだけど」

「何かしら?」

「さっき見てたから分かるよね? あの男を殺してほしいの」


 依頼のキャンセルが出たのに、運が良く新たな依頼だった。

 しかも、口頭で。


「その依頼、受け付けるわ」

「え、ホント? ホントにいいの?」

「ええ。先ほどの男性の容姿は覚えているから。今回だけ連絡先を教えていただける?」

「あ、はい……」


 私たちはスマートフォンで連絡先を交換する。

 メッセージアプリは使用しないのは本名がバレないようにするためよ。


「連絡先は交換したので、ご自宅へ戻ってもいいわ」

「連絡待ってるから!」

「道中、お気をつけて」


 彼女と別れたあと、男性を追う。

 そう遠くまでは行っていないはずよ。

 彼は靴の音で気がついたようだ。


「……みーつけた……」


 私は彼の背後に回り、耳元でこう囁き、黒背広(スーツ)のポケットから小型ナイフを首に突きつけた。


「ヒイッ!」


 ふふっ……いい声ね。

 そう言われると派手に殺りたくなるのよね!


「な、何故(なぜ)笑っている!?」

「それは貴方(ターゲット)を見つけたからよ?」

「お、俺が!?」

「嘘だと思っているならば、心当たりがあるか思い出すことね!」


 私は一旦、小型ナイフをしまい、彼を突き放した。

 尻もちをついて痛そうにしている彼を嘲笑うかのように見下す私。


「何か心当たりはあるかしら?」

「と、特には!」

「何もないとは言わせないわ!」

「もしかして見てたとかはないよな? 彼女からの告白を……」

「ようやく白状したわね……私の()でしっかりと見させていただいたわ!」


 私の手には刃渡りが長いナイフを握り、ズブッと腹部に数回刺す。

 彼は「……ぐはっ……!」と吐血した。

 冷えて何も感じなくなる時まで何回でも吐血しなさい!


 その分、私が返り血を浴びることは承知の上ですっかり慣れているけど。


 とどめは心臓で刺すとしましょう。

 その方が一発で命を落とせるから。


「これで何も文句は言えなくなったことでしょう?」


 冷えて何も答えなくなった亡骸を踏みつけずに放置する。

 私は連絡先を交換した彼女に依頼後の連絡し、私の電話番号と通話履歴を告げて電話を切った。

 おそらく翌日以降のニュースはこの話題で持ちきりになることでしょう。


 私は誰かにバレンタインのチョコレートを渡すより誰かを殺める方が向いていると感じた一晩だった。

最後までご覧いただきありがとうございました。


2026/02/19 本投稿・誤字修正

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― 新着の感想 ―
振ったら殺された∑(OωO; ) なんたる理不尽だろう。 彼女が見ているときは相手が誰でも告白を受け入れなくてはならないというのか……………。 見られていない時にこっそり振ろう(・∀・)
クリスマス以来の久しぶりの登場でしたね♪(*^^*) 僕は男の子目線での感想になってしまいますが、もしチョコもらって告白を断ったことで殺されるとしたら、何回殺されないといけないんだろう…と恐ろしくなっ…
まさにタイトル通りですね。 狂気の世界をありがとうございます。m(_ _)m ダークな雰囲気満点でバレンタインを覆しておりますから、投稿は……バレンタイン過ぎの今でベストだったのかもしれません。(^…
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