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京都、おひとりさま日和  作者: つなかん


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23/24

後日談 —— 千春という女の、その後

千春が会社に押し掛けた騒動から数ヶ月。

季節は変わり、

美咲が実家暮らしを整え始めた頃のこと。


千春は——

表向きには「静かに暮らしている」ように見えた。


だが実際は、

千春の周囲にはいくつかの“変化”があった。



結論から言うと、

完全に破綻した。


千春が美咲に執着していたこと、

勝手に会社に乗り込んだことが周囲に漏れ、

孝太の実家や親戚の耳にも入った。


孝太は最終的にこう言った。


「……俺たち、もう無理だと思う。」


千春は当然受け入れられず、

何度も食い下がったが——

孝太の気持ちは戻らなかった。


孝太自身の“甘さ”や“優柔不断さ”が招いた結果でもあったが、

それでも彼は別れを選んだ。


そして皮肉にも、

この別れが千春の“転機”の始まりになった。



最初のうちは、

千春は被害者ぶっていた。


「私は悪くない……」

「美咲のせいで……」

「孝太がひどい……」


しかし、誰に話しても同情されない。

同僚には距離を置かれ、

友人からも苦言を呈された。


ある日、親友から真顔で言われた。


「千春……

あんたが美咲さんにしたこと、普通じゃないよ。」


その言葉は彼女の心に初めて鋭く刺さり、

千春は崩れ落ちるように泣いた。


(……私、何してたんだろう……

 誰を責めたかったんだろう……

 誰に認めてほしかったんだろう……)


周囲に見放され、

ようやく千春は自分の孤独と向き合い始めた。



千春はしばらく休職した。

精神的に不安定になり、

医師からも休息を勧められた。


その後、会社を辞め、

実家に戻って療養することに。


母親は娘の様子に胸を痛めながらも、

真剣に向き合った。


「千春……

あんた、ずっと無理してきたんやね。」


初めて“味方”と呼べる存在の優しさに触れ、

千春は少しずつ落ち着きを取り戻していった。



半年後。


千春は、前の仕事とは全く違う

地元の小さなカフェで働き始めた。


人前で戦うような仕事ではなく、

黙々とコーヒーを淹れ、

優しく客と会話する日々。


派手な恋愛も、

誰かへの執着もない。


ただ静かで穏やかな毎日。


ある日、常連客のおばあさんにこう言われた。


「あんた、笑った顔が可愛いねぇ。

無理せんと、そのままでええんよ。」


千春は思わず涙ぐんだ。


(……あぁ。

 私、こんな風に優しく生きてもいいんだ。)


恋愛はしばらくいい。

自分のペースで、

少しずつ人生をやり直していこう。


そう思えるようになったのは、

あの騒動からずいぶん時間が過ぎてからだった。



◆美咲へ(心の中で)


千春は、もう美咲に連絡することも、

会おうとすることもなかった。


ただ、ある日の帰り道。

夕陽を見ながらふと思った。


(……あのとき美咲さんが言ってくれたこと、

 全部正しかったんだよね。)


悔しいときも、傷つくときもあったけど、

あの“痛い言葉”があったからこそ、

千春はようやく前を向けた。


「……ありがとう。

あのとき止めてくれて。」


美咲には伝わらない。

伝えるつもりもない。


それでいい。


千春は、千春の場所で、

静かに生き直す道を選んだのだから。


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― 新着の感想 ―
普通に考えれば千春さんは自業自得なのだろうけど、つまらない男に人生を狂わされた可哀想な面もあるんですよね……
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