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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【おまけの物語】

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秘密裡に始末される!?

「それにミハイル、いつまでもそんな完璧な宮廷医に固執していたら、もう一つの大切な役目を果たせなくなるよ」


 ダイアンからこの言葉を向けられた時。

 人生初の酔いは一瞬で吹き飛んだ。そして懸命に尋ねていた。


「ダイアン、もう一つの大切な役目って!?」

「そりゃあ、あれだよ、あれ! ボルチモア家は代々宮廷医なんだろう? つまりミハイルも跡継ぎのこと、考えないと!」

「……! そうだった……!」


 まずは医科アカデミーに入学すること。次に卒業試験に合格し、医師になること。そして宮廷医になることをゴールと考えていた。


 だが当然だが、宮廷医になってからがスタートだ。


 そこからは主にレグルス王太子殿下が大怪我をしないか。毒を盛られないか。刺客に襲われないか。そんなことを気にして、宮廷医として生きて行くことになった。


 病気ならある程度、コントロールがきく。だが怪我はいつだって突発的に起きる。いつ殿下が怪我をするか分からない。気は抜けず、お酒を飲める年齢になっても、飲むことなどなかったが……。


『人生長いんだよ。今から根を詰めていたら、息切れしちまう。長く仕事を続けるにはさ、緩急つけないと。やる時はやる。やらない時はやらない。休むと決めたら、一旦仕事のことは忘れるんだよ。寝るのでもいい、飲むのでもいい、とにかく気分転換が必要だよ』


 ダイアンのこの言葉にハッとすることになる。

 確かに人生は長い。

 今から張り詰めた状態では、殿下が怪我をするより、僕が先に病気になりそうだった。


 そこで誘われるまま、ダイアンと薬草リキュールを飲むことにした。薬草リキュールは薬用酒としても知られている。貴族も食後酒として楽しんでおり、その存在は知っていた。しかし高級なものであるし、僕はお酒を飲まないようにしていたのだ。今回初めて口にすることになる。


 その感想は……。


 お酒自体初めてだったが、この薬草リキュールは、ストレートで飲んでも、ロックでも、シャンパンと合わせて飲んでも、実に美味しいのだ。


(何よりコルネ伯爵から貰った物だから、なおのこと旨く感じるのかもしれない)


 ともかくダイアンと二人、初めてお酒を飲んだ。肩から力が抜け、リラックス出来ていた。そこでダイアンから衝撃の指摘を受け、酔いが吹き飛んだ。


(跡継ぎ……全く考えていなかった。でも必要だ、絶対! 宮廷医ボルチモアの血を絶やすわけにはいかない)


 しかしこれまでの人生、色恋沙汰とは完全に無縁だった。


「ダイアン……大変だ。僕は……どうしたら結婚出来るだろうか?」

「!? それを独身の私に聞かないでちょうだいよ! そんな方法が分かれば、とっくのとうに私だって既婚者だろう?」

「それは……そうだ。ちゃんと調べないといけないな」


 ダイアンは僕の空になっていたグラスに薬草リキュールを注ぎ、シャンパンを入れながら提案してくれる。


「この前、ザック叔父さんの娘が結婚したけど、旦那とは収穫祭で出会ったんだってさ。まもなく春になるだろう? 殿下とコルネ伯爵の婚約式を祝うお祭りもあれば、イースターの祭りもある。それに春市(春の市場)も始まるさ。そこで出会った同年代の女性に声をかけたらいいんじゃないかい?」

「なるほど! それはいいかもしれないな。……今、言ったイベントだと、春市が一番開催日が近い」


 ダイアンが作ってくれた薬草リキュール入りシャンパンを飲みながら伝えると「そうだね」と同意を示す。その上でダイアンが尋ねる。


「それで春市でさ、気になる女の子がいたとするだろう? それでどうするのさ? いきなり『僕と結婚してください!』って、言うのかい?」

「!? それは……言わないのか?」

「……どうだろう? 私も詳しくないけど、初対面でそんなことを私が言われたら……お断りだろうね。『あんた、誰だよ!?』って」


 その答えは尤もなものだった。


「ではなんて言われたら……」

「そうさね……。頭の中で、ミハイルが思う、可愛い女の子を想像してみて」

「可愛い女の子……」


 瞬時に浮かんだのは、クリッとした瞳が小動物のようで愛らしいコルネ伯爵だった。


(ダメだ。今の想像を殿下に知られたら、秘密裡に始末される)


 そこで考え直すが、そもそも知り合いの令嬢なんて……いないも等しかった。


(王女たちを想像したら陛下に消される。宮殿で働く使用人の女性たちのことを可愛いなどと言う目線で見るのは……)


「どうだい? 浮かんだかい?」

「ダイアン、無理だ。浮かばない!」

「……呆れたよ。それで本気で結婚相手を見つけるつもりかい? 自分の好みのタイプも分からない? 毎日宮殿で大勢の女性に会っているだろうに!」


 そう言われてしまうと、まさに面目ない……だった。でも浮かばないのだ。


「仕方ないね。なら練習だと思って、私のことを口説いてご覧よ」

「ダイアンを口説く!?」

「本気で口説く必要はないさ。練習だよ、練習!」


(練習でも幼なじみのダイアンを口説くなんて!)


 僕はそう思っていたのだが……。

お読みいただき、ありがとうございます!

テレンス元公爵令嬢の物語を書き始めたら止まらない~

なんとか区切りをつけて公開できるよう準備しますのでお待ちくださいね!

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