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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【おまけの物語】

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緩急つける

「コルネ伯爵、これは?」

「実は先日、所用があり、王都のはずれまで向かったんです。その際、修道院に立ち寄りました。その修道院では、薬草で作ったリキュールを作っているということで、木箱いっぱいにいただいてしまって……。鍛冶職人の皆さんは、圧倒的にビールかワインですよね。でもダイアンさんならきっとロックやストレート、白ワインで割ったりと楽しんでいただけるかと」


 そう言ってブラウンのガラス瓶とグリーンのガラス瓶に入った薬草リキュールを、コルネ伯爵が私にプレゼントしてくれたのだ。


「こちらのグリーンは薬草のほんのりした苦みがアクセントになっているそうです。こちらのブラウンの方は甘味が強いとのこと。グリーンはシャンパンで割ると美味しい気がしたので、こちらもよかったらどうぞ。薬草リキュールとシャンパンの割合は……1:5で良いかと思います!」


 追加でコルネ伯爵は、シャンパンまでプレゼントしてくれたのだ。


「薬草リキュール! お酒なのに体にいいんだろう!? 貴族の皆さんが楽しむって聞いたよ。食後酒に飲むっていう話だけど、シャンパンに入れて飲むなら、つまみと一緒に楽しめそうだね!」


 私の言葉に、コルネ嬢はハッとして「カクテルはないのね……」と呟く。


「カクテル……? なんだい、それは?」

「あ、いえ。何でもないです! シャンパンで割る……シャンパンを加えて飲む方法は、ふとした思い付き。美味しくなかったらごめんなさい!」

「!? そんな、謝る必要はないさ! それにコルネ伯爵の発明だ! 楽しませてもらうよ!」


 そう言って3本のボトルを受け取った私は、宮殿の厨房にお邪魔することにした。


 コルネ伯爵のおかげで、厨房の料理人とはすっかり顔見知り。壊れた鍋の修理などを買って出ることで、さらに仲良くなった。今となっては厨房に顔を出すと、余り物の絶品料理を分けてくれるのだ。


「おっ、ダイアン! ちょうどいいところにきた。鹿肉のテリーヌが余っているんだ。食べるか?」

「いいじゃないか。ちょうだいよ。なんかさ、他に酒のつまみになるものがあれば、欲しいのだけど」


 すると料理人は大皿に鹿肉のテリーヌとマスタード、スモークサーモンやチーズの切り落とし、ローストナッツの蜂蜜がけを盛りつけて渡してくれた。


「わお! 美味しそうだ。ありがとう! コルネ伯爵から薬草リキュールをもらったんだ。部屋で飲んでいるから、気が向いたら顔を出しなよ」

「薬草リキュールだろう! 俺たちもらったよ。今日は献上品で巨大なイノシシが届いたから、これからみんなで仕込みがあるからな……。遅くならなかったら、顔出すよ」

「今からまだ仕事なのかい!? それりゃ大変だ!」

「そうでもないさ。何せダイアンがプレゼントしてくれた切れ味のいいナイフもある。仕事がはかどって、助かっているよ。それに美味しそうなイノシシ肉を殿下とコルネ伯爵に食べさせたいからな。もうひと頑張り!」


 料理人のみんなは夕食の提供を終え、本来だったら疲れ切っているだろうに。レグルス王太子殿下とコルネ伯爵に食べさせたいと目がキラキラしている。


(不思議だよね。あの二人のためなら、頑張ろうと力が沸いて来るんだからさ)


「ではお先に」

「ああ、酒と友に幸あれ!」


 大皿を手に厨房を出て、鍛冶工房にある部屋へ戻ろうと回廊を歩いていると……。


 ブルネットの長髪に、黒曜石のような瞳のあの横顔!


「ミハイル!」

「! ダイアン!」


 私の声にビックリしながらも、白衣を着たミハイルが私を見て立ち止まる。


「なんだい、誰か具合でも悪いのかい!?」

「いや、定期巡回だよ。会食を終えた陛下に何か不調がないか確認した。問題なく、今日の勤務は終わった」

「じゃあさ、コルネ伯爵にもらった薬草リキュールとシャンパンがある。飲もうよ!」

「ダイアン、僕はお酒は飲まない。陛下に何かあった時、困るだろう?」


 ミハイルの父親も宮廷医だった。だが酒豪で知られている。勤務の後は豪快に飲み、鍛冶職人の爺さん連中ともよくビールで乾杯していた。引退した今は、頻繁に工房に来て酒を楽しんでいる。


(宮廷医だから酒を飲んじゃダメってわけじゃないのにさ。それに――)


「ホワイティア先生だっているじゃないか。先生はさ、体質的にお酒がダメなんだろう? 本人はお酒に興味津々だけど、体が受け付けないなら無理な話さ。ミハイルが酔っ払ってもホワイティア先生が対応してくれる」

「それはそうだけど……」

「ミハイル、あんたはさ、アカデミーを卒業して、見習いを経て、宮廷医になったばかり。いろいろと心配なんだろうけど……。人生長いんだよ。今から根を詰めていたら、息切れしちまう。長く仕事を続けるにはさ、緩急つけないと。やる時はやる。やらない時はやらない。休むと決めたら、一旦仕事のことは忘れるんだよ。寝るのでもいい、飲むのでもいい、とにかく気分転換が必要だよ」

お読みいただきありがとうございます!

昨日はリアクション、ありがとうございます~

テレンス公爵令嬢の物語、用意しますね!

しばらくはこちらのキャラの物語をお楽しみいただけると幸いです!

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