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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【おまけの物語】

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彼女の本音

 コルネ侯爵家と言えば、絶世の美女の姉妹がいる。

 二人は社交界で一時話題をさらい、令息たちの心をときめかせた。でもあっという間に婚約者が決まり、コルネ侯爵の名が社交界をにぎわせることはない。わたくしもその名は忘れていた。


 ところが。


 アンジェリカ・リリー・コルネ。


 キャラメルブロンドにくりっとした琥珀色の瞳。肌艶はよく、見るからに健康的で、よく動き回る。とても気が利き、侍女として大変有能だった。


(なんというか、小動物みたいな子よね)


 最初はその働きぶりについ目がいってしまったのだけど。すぐにコルネ嬢を目で追っているのはわたくしだけではないと気が付く。


 レグルス王太子殿下も……コルネ嬢のことを見ている。


 殿下は無表情で、冷たく、厳しく、怖い……ことで知られていた。でもその彼がコルネ嬢へ向ける眼差しは実に豊かなのだ。


 興味を引かれている。

 感心している。

 嬉しく思っている。


 何よりもコルネ嬢への信頼が感じられた。


 その信頼は仕事のできる侍女に対するもの以上だと思う。


(きっとレグルス王太子殿下はコルネ嬢のことが好きなのだわ)


 公爵令嬢として、マナーや教養、語学、刺繍やダンスなどの淑女教育をきっちり受けた。その中で、将来はテレンス公爵家が栄えるような相手と結婚すること。それがわたくしの役目であると、教えられてきたけれど……。


 そして今、レグルス王太子殿下の心を射止めるようにお父様から言われている。


(でも……)


 コルネ嬢は全く気づいていない。

 レグルス王太子殿下の気持ちに。

 しかし彼女が殿下の想いを分かったら……。


(無表情ではあるけれど、それ以外は完璧なのよ、殿下は。頭脳明晰、容姿端麗、運動神経抜群で、剣術の腕はソードマスターと変わらない。お茶会に参加した令嬢はみんな、殿下に魅了されたと思う。彼に選ばれるかどうかは別にしても。コルネ嬢は行儀見習いで侍女をしているけれど、貴族令嬢の一人。素敵な令息に、何よりその身分は王太子の殿下に想われていると分かれば、乙女心はときめくはずよ)


 多分、お互いの気持ちが分かれば、相思相愛になるかもしれないコルネ嬢とレグルス王太子殿下。


 できれば……邪魔をしたくなかった。


 ◇


『な、何をなさるの!?』

『静かに。あの男たちの狙いはあなたです。ですがあなたは殿下の婚約者候補の中では、家柄からして最有力。そんなあなたに何かがあったら、大事です。ここは私に任せてください』

『ま、まさか、あなた……!』


 よりによって王都で。

 しかもお父様の経営する工場の敷地内で、賊に襲われるなんて! しかも賊の狙いはわたくしなのにコルネ嬢は……。


 彼女の献身には驚きしかない。


 人というのは我が身の安全を最優先にするものと思っていた。騎士でもない限り、剣などの武器を扱えないわたくしのような貴族令嬢は、守ってもらうのが当然。そこはいくら侍女をしていても、コルネ嬢も同じだと思ったのに。


 武器など持たないのに、コルネ嬢はわたくしを守ってくれた。ただし、自分自身を犠牲にして。


(コルネ嬢はお人好しでただの馬鹿者だわ。わたくしのことを指さし『この人がテレンス公爵令嬢です!』と叫べば助かったのに)


 そうはせず、わたくしを助けるなんて……。


(コルネ嬢が勝手に行動したこと。わたくしは知らないわ。何よりこのまま放置したら、レグルス王太子殿下の想い人は消える。そうなればわたくしが殿下と婚約し、お父様も喜んでくれるのよ)


 一度はそんなふうに考えた。

 しかし。

 コルネ嬢のお茶会での働きぶり。そして賊に対して放ったこの言葉――。


『ここにいる二人の侍女は、共に平民出身です。わたくしに仕えていますが、ただの平民。見逃してください。二人とも今の出来事については、固く口を閉ざしますから』


 瞼を閉じて、頭に浮かぶのは、コルネ嬢の小動物のような姿だ。


「ああ、もうっ! イライラしますわ! 小動物なら、小動物として、飼い主に庇護してもらい、大人しくしていればいいのにっ!」

「お嬢様、どうされましたか!?」

「お父様のところに行くわ。話があると先に伝えてちょうだい!」


 ◇


 貴族社会の頂点から、最底辺へ落ちて行く。


 宮殿と変わらない豪華な屋敷から追い出され、平民が着るようなドレス姿でボロ馬車に乗り込む日がやってくるなんて、想像したことがなかった。


 もう「お嬢様」と言って仕えてくれる侍女もいない。毎日のように美味しいスイーツを運んでくれるメイドもいない。家族とは離れ、私は一人……。


「おい、女。降りろ。ここがクーシュケット修道院だ」


 王都のはずれにある修道院。


 信じていたお父様は家族だけではなく、王家や国を裏切るようなことをしていた。爵位を剥奪され、収監され、家族は離散することになる。そしてわたくしは身一つで、修道院へ入ることになった。

お読みいただき、ありがとうございます!

しばらくはテレンス公爵令嬢のおまけの物語にお付き合いいただけると幸いです~

明日も原稿書け次第公開しますね☆彡

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