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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
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極寒と常世の春

 王女たちと昼食を終え、午後の授業の開始まで、自室で復習をしようと宮殿の中を歩いていると。

 

「コルネ伯爵!」

 

 突然、声をかけられ、驚いて振り向く。


 私についてくれている侍女も立ち止まり、何事かと声の方に体を向ける。

 

 そこにいたのは古代ローマ人のような装いの男性。ロイヤルパープルのマントをつけ、亜麻色のくせ毛に金色に近い瞳の色のこの青年は……ポリピア国の大使! 確か名前は……クロス!

 

「コルネ伯爵、ようやくお会いできました! ずっと、何度も、あなたと話したいと掛け合っていたんですよ! でもことごとく予定が合わず、挙句王太子妃教育が始まり、王太子殿下も外交で留守なので、あなたに会うことはできないと言われ……。羽根ペンと算盤の件、発案者であるあなたの話を聞かないと、国に帰ることはできません! ずっと帰国を延期し、あなたと直接話す機会をうかがっていたんですよ!」

 

 確かにこのクロスから羽根ペンと算盤の件を詳しく聞きたいと言われていた。しかしレグルス王太子殿下が彼を警戒していたので、結局スコット筆頭補佐官に相手をしてもらっていたのだ。

 

(それにそうしないとレグルス王太子殿下は、クロスが私の手にでも触れようものなら、事故に見せかけ抹殺しかねないから……)

 

「クロス大使、羽根ペンと算盤については、スコット筆頭補佐官が詳しい説明をしたと思うのですが……。それに羽根ペンについては、これ以上の詳細はライセンス契約を結んでいただいた方がいいと思います。そしてその件については、専門の職員がいるので、担当者を別途つけてご説明さしあげますが」

「ライセンス契約も勿論結びます! ですが直接お話を聞きたいと、我が国の第二王子が申しているのです。ぜひ、私と共に、ポリピア国へ来ていただけませんか!」

 

(クロスが私と話したいのかと思ったら! 第二王子が私と話したい!?)

 

「コルネ伯爵、どうかお願……」

 

 そこでクロスの顔が分かりやすくサーッと青ざめた。さらに目が泳ぎ、一歩、二歩と後ろへ後退する。

 

「クロス大使、どうされましたか……?」

「あ、いえ、その……先程の件はお忘れください!」

「!?」

 

 クロスはそこでくるりとこちらへ背を向けると、まるで水中を泳いでいるかのように、前へつんのめりそうになりながら、逃げ出していく。

 

「クロス大使、何だか変わった方ね」

「そうですね。何だったのでしょうか」

 

 侍女とそんなふうに話し、体を前方へ向けた瞬間。

 

 今は初冬で気温は低いのだけど。

 極寒に感じるぐらいの冷気を察知する。

 

 見る者を凍り付ける無表情でそこにいるのは……レグルス王太子殿下!

 

「殿下、いつ帰国されたのですか!?」

「実は昨晩遅くに国境を越えました。一刻も早く、アンジェリカに会いたくて、その後はとにかく馬を走らせ……。サプライズにしたかったのですが、驚きましたか?」

 

 先程から一転、そう言って私を抱き寄せるレグルス王太子殿下の表情は、うららかな春の陽気を思わせる柔らかさだった。

 

(さっきの極寒から一転、常世の春のような顔だわ……)

 

 つい頬が緩んでしまうが。

 

《既に帰国したと思っていたら、まだ残っていたのか、あの大使は! しかも子リスをポリピア国へ連れ去ろうとしている……。それは第二王子のめいなのか!? 友好国と思っていたが、こうなると……》

 

「で、殿下! 落ち着いて下さい! 私はここにいますし、どこにも行きません! あんな大使のことは忘れてください! 何より、ハーン帝国の生誕祝いはどうでしたか!? 殿下のお話、いろいろお聞きしたいです。それに私、王太子妃教育を頑張っているんですよ。そのことも話したいですし……、あ、まずは湯浴みされますか? すぐに入浴の準備をさせましょうか!?」

「ありがとうございます、アンジェリカ。君との再会、ちゃんと身綺麗にしようと、宮殿に入る前に宿で休息をとり、汗は流してあります。ただ、父上に……国王陛下に帰国の報告をする必要が……。既に書簡では伝えているのですが、直接謁見するので、ティータイムに会いに行きます」

「分かりました! 私もこの後、午後の授業があるので、ティータイムに会いに来てくださるので問題ありません! 喫茶ルームでお待ちしています」

 

 こうして一旦、レグルス王太子殿下とは別れ、私は王太子妃教育が行われる書斎へと向かう。

 

(この授業が終わったら、レグルス王太子殿下とゆっくり話せるわ!)

 

 そう思うとやる気がみなぎり、教師のことを驚かせることになる。

 

「発音もかなり上達しました。今日は少し早いですが、ティータイムの休憩に入っていいですよ」

 

 教師からそう言われた私は「ひゃっほ~い!」と大喜びで、まずは侍女を呼ぶ。そしてパティシエや職人のみんなに、喫茶ルームへ向かうことを伝えてもらう。

 

(みんな、レグルス王太子殿下が戻ったと知ったら、大喜びだわ!)

 

 一足先で、喫茶ルームへ向かうと……。

お読みいただき、ありがとうございます!

昨日は慌てて更新して後書きを書き忘れてごめんなさい。

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