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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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責任!?

 本人を目の前に子リスと言っておきながら、何事もなかったかのように振る舞い、座るよう勧めるなんて。


(しかもさりげなくお姉様のことは褒めているわよね? 私のことは……けなしてはいないけど、褒めもしていないわ!)


 思わず頬を膨らませながら、ベッドから少し離れた位置に置かれている、立派な椅子に腰を下ろす。


「どうしたのだろう、あんなふうに頬を膨らませて。……ああ、そうか。ベッドで会うなんて不躾だと思われたのかもしれないな。今からでも遅くない。起きよう」


 これには「!?」と驚く。

 レグルス王太子殿下は怪我人なのだ。

 長袖の寝間着を着ているし、胸元はきちんとボタンを留めているから見えないが、上半身のあちこちが、包帯でぐるぐる巻きになっているはず。


「レグルス王太子殿下、お気になさらないでください。殿下は五人もの暗殺者の相手をされ、お疲れです。それに……お怪我をされたところも見ています。そのままベッドにいてください」


 私としてはごく当たり前のことを言ったつもりだった。だがレグルス王太子殿下は「!」と驚いた表情となり、スコット筆頭補佐官もビックリした顔をしている。


(え、な、何!? あ、しまった! 私、きちんとまだ挨拶をしていなかったわ!)


 そこで慌てて椅子から立ち上がり、カーテシーをすることになる。


「ご挨拶が遅れ、大変申し訳ありません。私は、アンジェリカ・リリー・コルネ、コルネ侯爵家の三女です。コーデリア・ダナ・アトリア第二王女殿下に、行儀見習いで侍女としてお仕えしています」


 きちんと挨拶をしたがシンとしているので、背中から一気に汗が噴き出る。


「フッ。やはり子リスみたいだな。しかしこんな小動物みたいにか弱い令嬢が、あの現場を目撃し、紙を渡り廊下から投げ落として、暗殺者たちの気を逸らした。そして……きっと裏庭にいる警備兵を呼びに行ったのだろう。人は見かけによらないというが……。あの場で腰を抜かして震えるわけではなく、自らそこまで動けるとは……とても勇気のある令嬢だ」


 レグルス王太子殿下の言葉に、私は固まってしまう。


(子リスみたいだと揶揄されたような気もするが、その後、私の行動を褒めてくれている……?)


「コルネ嬢、挨拶、ありがとうございます。どうぞお座りください」

「……はい」


 褒めてくれたと思うのだけど、何事もなかったかのように挨拶の御礼を言われ、座るように言われてしまう。これには何だか肩すかしをくらった気分だ。


「まずは改めてとなりますが、わたしのために今日は奮闘いただき、ありがとうございます。あなたの機転の利いた行動により、暗殺者に隙ができ、おかげで彼らを殲滅させることに成功しました」

「! そんな……私の方こそ、この度は危機から救って下さり、ありがとうございました」


 椅子に座ったまま深々と頭を下げると、笑い声が聞こえた気がした。


(え、まさかレグルス王太子殿下がくすくすと笑った!?)


 驚いて顔を上げると、一切の感情を排除したレグルス王太子殿下の紺碧色の瞳と目が合う。


「君が危険な状態になったのは、私を助けようとした結果です。その君を暗殺者の魔の手から守るのは当然のこと。ちゃんと君を助けることができてよかったです」


(レグルス王太子殿下は、人に厳しいが自分にも厳しいというのは本当ね。自身は五人もの暗殺者に狙われていたのに。とても真面目な方だわ……)


「確認したところ、暗殺者の正体が判明しました」

「! そうなのですね」

「わたしの命を狙っていたのは、暗殺組織(ギルド)ギヌウスです。彼らを一人で相手にするのは……いささか骨が折れるもの。あなたが注意を逸らす行動をしてくれなかったら、今、わたしはここにいなかったかもしれません」

「えっ、ギヌウス、ですか!?」


 ギヌウスは大陸で一番有名な暗殺組織だった。戦闘とは無縁の令嬢でも、耳にしたことがあるのは、各国で暗躍し、多くの要人が命を落としているからだ。つまりその腕は一流で、ターゲットの致死率は九割と言われていた。さすがのソードマスターの腕前を持つレグルス王太子殿下でも、それは大変だったと思う。


「ええ。ギヌウスです。過去に狙われたこともあり、その時も曲剣を使われ、苦戦しました」


 過去にも狙われているという言葉に、私は衝撃を受ける。その一方で納得できてしまう。レグルス王太子殿下の「自分にも他人にも厳しい」態度は敵を作りやすい。


(でもまだ彼は私と同じ十八歳。それでいて既にギヌウスに狙われた過去があるなんて……)


 だが王族、しかも王太子ともなると、命を狙われることは……悲しいが致し方ないことでもある。敵は内外、どちらにでもいる可能性があった。


「……心配してくれているのか。ギヌウス相手に勇敢に立ち回ってはいるが、心優しい令嬢なのだな。今回、あんな現場を目の当たりにして、心は傷ついていないだろうか」

「!?」


(感情のない完全無欠の王太子と言われているレグルス王太子殿下が、私のことを心配してくれている!?)


 チラリとその顔を見るが、そこに今の言葉に結び付くような表情はない。ようは完全なポーカーフェイスなのだ!


(美貌の顔で無表情だと、本当に冷たく感じるわ……)


 こうなると「父親の狩りに同行もしているので、血はある程度見慣れています。大丈夫です」と答えようと思ったが、何も言えない。


(ここまで顔の表情と発する言葉が一致していないなんて。不思議な人だわ。でも顔に感情は出ていなくても、私のことを心配してくれている。決して冷徹な方には思えないけれど……)


「スコット」

「はい、殿下」

「コルネ嬢には兵士が受けている心理カウンセリングをつけてもらえるか?」

「承知いたしました」


 スコット筆頭補佐官は、立ったまま器用に羽根ペンを使い、レグルス王太子殿下の言葉をメモしている。


(やっぱりレグルス王太子殿下は、優しい方だと思うわ。ホワイティア先生の見立てた通りね)


「君のおかげでわたしは大きな怪我はなく済んでいます。君自身は怪我はしていないですか?」

「あ……はい、大丈夫です。問題ありません!」

「報告では両ひざを擦りむいたそうです」


 膝を擦りむくなど大したことではないので、問題ないと答えたのに!


(スコット筆頭補佐官がまさか伝えてしまうなんて!)


「なんだって!? 令嬢の足を傷つける事態を招いてしまった……! 顔などの傷ではない。だがこれは責任を取らないといけないのでは……」


(責任!?)


 レグルス王太子殿下の言葉に、私は仰天することになる。

お読みいただき、ありがとうございます!

次話『命の重み』は20時頃公開予定!

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