表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊発売決定:商業ノベル&漫画化進行中
【おまけの物語】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

144/205

彼女はお客様。

 成金男爵夫妻として、闇カジノに潜入し、派手にお金を使い、目立つぐらい勝ち続ける。


 勝ち続ける……ジークは恐ろしいほど勝負事に強かった。いかさまはしていないのに、本当に勝ってしまうのだ!


『ジーク、あなた何者なんですか!?』

『うん? 僕は諜報部ミラーの副長官で、リエットの最愛、だろう?』


 そう言ってジークは完璧なウィンクを披露する。


『絶対に違う気がします。……本職はギャンブラー!?』

『まさか! 僕はただリエットのおかげで勝てているだけだよ。でもまあ賭け事で負けたことはない』

『一度も!?』


 問いかえす私にジークは余裕しゃくしゃくで答える。


『一度も。諜報部の任務でも負けなしだ。……あ、あいつは別だ。あれは……ノーカウントだな。勝負をしていないし。そして今日の摘発作戦も間違いなく、成功させる』

『あれはジークの負けだと思います』

『まったく僕のハニーはつれないな。そんな意地悪を言うなら……この作戦が成功したら、ずっとお預けになっているリエットの唇を奪うぞ!』


 そう言うとジークが私をぎゅっと抱き寄せた。


 この日のために髪をバターブロンドからダークブラウンに染め、ほくろもつけたジークは、それだけで別人に見える。なんというか、醸し出すオーラが普段と全然違う。奔放で自由で、どこからどう見ても、成金男爵でギャンブラーにしか見えなかった。


『ちょっとジーク、どこに顔を近づけているんですか!』

『リエットの今日の香水はバニラか……やっぱり甘い』


 ジークの鼻が胸の谷間に近づき、なんだか体の芯の部分が変な気持ちになる。


『……くっ、ジーク! やり過ぎだと思いますっ!』

『しっ。用心棒が近づいてきた。どうやら成金男爵リフレア夫妻のド派手な勝ちぶりに、ようやく目をつけてくれたようだ』


 そこで黒服の用心棒がジークに声をかける。


『お客様。当カジノでは初めてのご利用ですよね?』


 ジークと身長は変わらないが、肩幅が広く、大きな一枚岩のようないかつい男性がこちらを見る。


『ああ、そうだよ。デンバーから来た。このカジノはアントネッロ伯爵の紹介で来たんだが……。王都についてからアントネッロ伯爵の屋敷を訪ねたら、もぬけの殻だ。一体何があったのか。君、知っているかい?』


 すっとボケた様子でジークは話しているが、アントネッロ伯爵は一カ月前ぐらいに別の闇カジノの摘発で逮捕された有力貴族の一人だった。もちろん、目の前の用心棒はアントネッロ伯爵が逮捕されたことを知っている。だから眉をしかめ、今の話を聞かなかったことにして話を続ける。


『支配人が勝ち続けるご夫妻にあやかりたいそうです。支配人室でヴィンテージシャンパンやブランデー、葉巻、チョコレートなどをご用意しています。……特別なお客様のために』

『おおお、それはもしやVIPな待遇を受けられる……ということか!? ハニー聞いたか? すごいぞ』


 そこでジークが頬にキスをするので、本能で手が動いてしまう。だがジークは瞬時に私の手首を掴み、自身の腰の方へとぐいと引く。そのせいで私はジークの胸の中にぽすっと収まることになる。


『ぜひ支配人による特別待遇を受けてみたいな。案内、してくれるかい?』

『もちろんです、どうぞ、こちらへ』


 成金男爵リフレアを演じるために、ジークは普段吸わない葉巻も口にしている。テールコートからはその葉巻の香りがして、いつもの爽やかなミントとは違い、なんだかとってもアダルト。


『よし、行こうか、ハニー』


 エスコートではなく、そのまま私の腰を抱き寄せジークが歩き出すので、その体に密着した状態になる。


 引き締まった胸板、力強い腕、さらに脇腹に筋肉を感じるのは、かなり鍛えている証。


(多分、服を脱いだジークは、美術館や博物館で見るような、彫像みたいに完璧な体をしているはず)


 それはもう自然な羨望の気持ち。警棒を使い、日々訓練を続けているが、女性はなかなか筋肉がつかない。


『どうしたリエット? この髪色の僕が気に入ったか?』

『……任務に集中してください』


 ジークの体は拝みたい気持ちになる。だが口はやはり縫い付けておきたい。


『お客様、こちらです』

『随分、のぼったり、くだったり、曲がったりだったね!』

『そうですね。支配人室は特別で、誰でもご案内するわけではないですし、関係者以外に来られても困りますから』

『なるほど。いやー、僕は無理だね。案内してもらえないと、外には出れないよ』


 そう言ってジークは肩をすくめるが、それは、はったり。


 諜報部では歩数を諳んじて当たり前。その歩数から移動距離と時間を瞬時に計算する。しかも目に付くものをランドマークにし、迷うことはない。それにランドマークになるものがないと、作る。


 迷いそうな場所を通り過ぎる度に、私はさりげなくブレスレットの模造パールをひと粒ずつ落としていた。


(これで仲間の諜報部のメンバーも私たちの後を追えるし、私とジークは脱出ができる)


 用心棒がぶ厚そうな鉄製の扉の前で立ち止まった。


 そこには屈強そうな男が手を前に組んで立っていたが、私たちを見ると頷き、扉をゆっくり開けた。


お読みいただき、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●新作スタート!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄の悪役令嬢は全力ざまぁで断罪回避に成功!のはずが……まだ終わらないなんて聞いていません!
『婚約破棄の悪役令嬢は全力ざまぁで断罪回避に成功!のはずが……まだ終わらないなんて聞いていません!』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ