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平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!  作者: 一番星キラリ@受賞作続刊発売決定:商業ノベル&漫画化進行中
【おまけの物語】

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奴の計画

 宮殿の正門を出ると、そこは広場になっている。中央には黄金像を擁する巨大な噴水。そしてその噴水の周囲にはベンチが置かれ、街路樹もあり、王都民の憩いの場になっていた。そのベンチに並んで座っている二人の男性がいる。


 一人はシルバーブロンドに、白水色の瞳で、くすんだグレーのスーツを着た青年。もう一人は街中でよく見かけるベージュのジャケットに、眼鏡、そしてダークブラウンの髪と髭の中年の男だ。


「それでその侍女は本当に、コルネ伯爵に毒を盛るのですか?」

「ええ。大丈夫ですよ。先日、偶然を装い、イヴに近づきました。まだ好意があるふりをすると、いちころでしたよ」


 彼は……フェリクス・ヴァン・スローンは、シルバーブロンドをかきあげ、肩をすくめる。


「ほう。君は真面目そうに見えるが、女を転がすのも、お手のものだったのか」

「イヴは転がすも何も。舞踏会で会った時から、もう僕にゾッコンです。顔に分かりやすく『あなたが好きです』と書いてあった」

「なるほど。そもそも最初の出会いからして、意図的だったと。ルベール侯爵家と姻戚関係を持つこと。かつ持参金狙いだった……ということか」


 そこで近くにいた鳩の群れが急に飛び立つ。

 幼い少女が鳩を追いかけたので、一切に逃げ出しようだ。


「ティータイム開始から三十分が過ぎます。……そろそろじゃないですか」


 フェリクスは男の問いには頷いただけで、時計塔の時刻を気にした言葉を口にする。


「イヴによると、今日のコルネ伯爵のティータイムに招かれたのは、マチルダ・エルザ・バルヴェルク。バルヴェルク伯爵家の令嬢です。バルヴェルク伯爵令嬢は、トラウマのような光景を目の当たりにして、大慌てで飛び出してきますよ。バルヴェルク伯爵の紋章である、狐が描かれた馬車が見えたら……成功です。コルネ伯爵は毒を盛られたことになる」


 何か事件が起きた時、身の安全を優先することは認められている。事件現場にいたからと、そのまま現場立ち合いをすることは、強要されていない。あくまで任意だった。ただ、後日捜査の協力を拒めば、それはかなりの重罪になる。よってフェリクスの言う通りで、バルヴェルク伯爵令嬢を乗せた馬車が飛び出して来たら、それすなわち、事件が起きたで間違いない。


 そしてその事件とは、コルネ伯爵の侍女であり、フェリクスが金目当てでかつて婚約しようとしていたイヴ・ルベール侯爵令嬢によって引き起こされる。


 破談という形で終わったフェリクスとイヴ。未完で終わったはずの二人は偶然の再会で、焼け木杭に火がつくになっていた。フェリクスが「今度こそ、結ばれよう」とイヴを口説き落とし、二人で亡命するには、コルネ伯爵に毒を飲ませる必要があると説得したのだ。


「これで成功したら、父上と母上、そして僕を亡命させてくれるのだろう?」


 フェリクスは隣に座る男に確認する。


「ええ、そうですね。成功したら」


 そこでフェリクスはハッとした表情になり、ベンチから立ち上がる。


「見てください! 馬車が飛び出して来た! 扉の紋章には狐が描かれている! あれこそ、バルヴェルク伯爵家の馬車だ! やったぞ、イヴ、よくやった!」


 興奮気味なフェリクスに男は尋ねる。


「侯爵令嬢は亡命させないでいいのですか?」

「……必要ない。イヴの使い道はこれでお終いだ。元々好きでも何でもない女だった。侯爵令嬢と言っても、実家は困窮し、没落すれすれの綱渡り状態。そんな女と結婚しても得るものはない。僕なら亡命先でいくらでも好条件の令嬢と出会える。……人生をそこでやり直すのさ」

「そうですか。君のプライベートに干渉するつもりはありません。いくらでもお好きなようにどうぞ」


 そう言いながら、男は持参していたシャンパンを開ける。ご丁寧にグラスも二つ、持参していた。


「気が利くじゃないですか!」

「職業柄ね、ちゃんと手を回すんですよ」


 二人はベンチから立ち上がる。


 グラスにシャンパンが満たされ、二人は「「乾杯」」と声を揃える。


 男はゆったりとグラスを口に運び、フェリクスはあおるようにシャンパンを飲み干す。


「昨日、二十歳になった。初の酒が祝い酒とは、ついているな」


 そこでフェリクスの顔が歪む。


「……シャンパンは……そんなにアルコールが強いのか……?」


 独り言のようにフェリクスが呟く。


「ビールよりは強いですよ。でも赤ワインや白ワインに比べたら……。でもまあ、初めてのお酒なら、少し強かったのかもしれませんね」


 男は「まあ、ちょっと座るといいんじゃないですか」とフェリクスをベンチに座らせる。


 それから男は――こちらを見た。


「なるほど。王太子殿下の直属の諜報部ミラー。優秀な人材が多いと聞いていましたが……。それは本当のようですね」


 これには「なぜバレた?」と考える。全員の変装は完璧で、この景色に溶け込んでいたはずだった。だがすぐに気づくことになる。


「しまった、やられた! 総員、男を捕えろ!」


 僕の叫びに、この現場にいた諜報員の全員が、一斉に動いた。


お読みいただき、ありがとうございます!

来週は月火は朝、水木金はお昼、土日は夜更新です!

いろいろなライフスタイルがある読者様に届くよう更新時間帯をアレンジしていますが、ご自身の都合にあわせ、お読みくださいね! ご無理なくで楽しんでくださいませ☆彡


クリスマスに読みたいお話に反応いただいた読者様、心から感謝です~

Thank you♡♡♡

皆様の反応を見た筆者は、あることを……閃いてしまいました……!

こちら何をするかは……サプライズで発表します!

お楽しみにヾ(≧▽≦)ノ

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