第九章 八咫烏(やたがらす)
第九章
鳥居の下、参道の真ん中に立ち迎え撃つのには意味がある
近距離まで来られたら、鳥居より背の高い存在をどうやって仕留めればいいのか
そうなる前に狙いを定めやすい道の中央に立つ必要がある
そいつは皮膚がはがされ、赤い筋肉がまだら模様にむき出ている
彼女は左手に巨大なテディベアのぬいぐるみを引きずり、右手に持ってるのはおそらく
アイスピックだ。
わたしに向かい、本殿に向かい参道をスキップを踏んでリズミカルに
歩いてくる
一歩が大きくそして重い。石畳の参道に、足跡が増えていく。わたしは目をつぶった
ふたつめの鳥居が絶対防衛ライン
木花神社はまだ穢されていない。タリーズコーヒーに入るか迷った時と同じ、木々の葉がこすれる音がする。後ろから鳥が4回鳴いた。自分の存在をわたしに知ってもらうため
その鳥は、きっとカラスだ。そのカラスは
八咫烏
導きの神、太陽の化身
今は夜の3時。日の出まであと何時間?
そしてわたしは目を開けた。相手の距離が近づいてる
わたしは言った
「清らかな場所に導く清らかな道に、これ以上あなたのパクチーみたいな
くさい足跡つけないでくれるかしら。石が腐って生ごみに出さなきゃいけないでしょう
国立市のゴミの分別は複雑なのよ」