第6章 授かったメイド少女のチョーカー
第6章
さくらちゃんは、カチューシャの位置を調整し首に巻かれたチョーカーをほどいた
わたしはそのひもを両手で授かり、握りしめる。そして自分の首に巻いた
首がきつい。サイズが合わない
「この清らかなチョーカー、これがわたしを守ってくれる
そして神社を穢す存在と戦うのね」
「ちがうよ、さっきからわたしの胸と首をじろじろ見てるから欲しいのかなって
それ、セリーヌ(CELINE)のチョーカー
せめて新花ちゃんの命と引き換えにって
音楽大学の女子大生がここに立ち寄って奉納したやつなの。気に入っていたけどあげる」
わたしはその場でチョーカーをほどき、お返ししたくなった
巫女さんって、そもそも黒い紐のチョーカーしないし
さくらちゃんは言った
「わたしは戦さのことは分からない。新花ちゃんがどうやったら仕留められるかも。
でも言えることは、その存在はこの場所を憎しみの炎で自分もろとも燃え盛る事を
切望してる
神社の本殿に火柱が立つように。神社は人の憎しみを受け止めることもしてきた
でもわたしはこの憎悪を受け止めきれない。神主さんが、何をしたのかも分からないの」
気がつくと手が震えていた
「いい?怒りに対して怒りをぶつけても、さらに激しい怒りの炎が燃え盛る
醜い憎しみの感情を手放し、その上で確実に仕留めるの」
せっかく神社を破壊する存在に怒りを覚え、戦う勇気がでてきたのになあ
怒っちゃだめなの?
さくらは言った
「新花ちゃんがさっきわたしにした質問。わたしが、あらかにした質問、覚えてる?」
「わたしは誰か。そもそも何か。蒼井新花というのはほんとうの名前か」
「あなたの本来のお名前。最初から分かってたの。あなたのふたつのおなまえを
伝え、わたしは本殿に戻る
あなたのほんとうのふたつの言霊を授け、わたしは本殿に戻る
この神社にある神の依り代となるものはひとつだけ
なにか知ってるね。任せたよ」