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第五章 清らかなガールズトーク

第五章


さくらちゃんは言った

「あらかちゃんの事、教えて」

「例えば何かな?」

「ここの巫女になってどれくらい?」

「7日目」

「弓道部に入ったのは?」

「6日前」

「新花ちゃんって面白いのね。もっとお話したくなった。でも残念ね

ガールズトークもここでおしまい。あの時計見て」


ガールズトーク


毛をきつね色に染めたきつねと恋愛話をした記憶はない

あなたってそもそも何?という質問はされた。ガールズトークってそれか

時計をみた


そして、今日何度目かの混乱のダメージを頭蓋骨に受ける右フックを喰らった

さくらちゃんは、ピンクのリボンのある白いエプロンをほどいた

そしてもう一度、腰で結び直した。細いウエストがさらに強調される

視線がその上にいく。膝丈のワンピースとエプロンのせいで目立たないけれど、

ウエストの上の隆起から分かることは、小柄で華奢なのに高校一年のわたしより。

「夜中の3時が近づいてる」

きつねが思春期メイドになるため、女子更衣室で着替えている間、

わたしは6時間居眠りしていたのか、それともここは竜宮城?


あそこにも美少女がいると聞く

「あした学校がある。帰る前にさくらちゃんが言ってたお願いを言ってみて」


「木花神社にご奉仕する。祀られた神さまがここにいられるように

ここにいられなくしようとしている存在を美しく、そして華麗に仕留める」

「あんまり理解できないけど、お願いされた事の重要さは分かった。そして、

 それ聞かなきゃよかったって思ってるんだけど不謹慎かなわたし

 

そんな不気味な存在、仕留めたことない。文系だし

というか、いままで何かを仕留めた経験がない

 クラスの男の子の心を射止めたこともない。女子校だから」


「その存在は、丑三つ時に1つ目の鳥居から参道を歩いてくる

己と共に木花神社を焼き尽くつくすため。それを本殿に入れないで

2つ目の鳥居。そこまでが絶対防衛ライン。1つ目は諦める。境内が穢されるけれど、

そこで抑えられれば神主が穢れを祓え清められる」


わたしはこれからバイト先、いや、ご奉仕する場所を失おうとしている

それを阻止するため、悪い奴を美しく仕留めてと膝丈ワンピースを着たうるんだ瞳の

メイドにお願いされてる。二次成長期の少女に。


さくらちゃんは、儚げな感じがする

いつ散ってしまうかも分からないような、そよ風で流されてしまいそうな

華奢だからか、お肌の透明感のせいか

  「あした早いし今日は帰るね。次のシフト火曜日だからまたそのときね!」

と言える雰囲気だったらな。もうそんな事言える感じじゃないし。本当の事なら大変だし

そもそもタリーズコーヒーって特別好きなわけじゃないのに何ではいっちゃったのかなあ

現金持ってないしオーダーできないの分かってたのになあ


店内の照明が、ゆっくりと消えていった

たぶんタリーズのフリーWi-Fiも


わたしとさくらちゃんの間に置かれた、ろうそくの灯りだけが店内を灯してる

二人で怪談話をしてるみたい。ガールズトークとは?

「阻止する方法を一応聞いておきたいのだけれど、知ってたりする?」

「その存在はこの神社を恨んでる。正確には、神主さんを恨んでる

長い間の怨念でもう人の姿を留めて居ないかも。本殿に入られると、直接わたしが

それと対峙する事になる。わたしはむかし、自分の家に火を放ち困難を乗り切った


もう一度同じことをすることになる。もしくはその前にその存在が同じことをする

どんな姿かも分からない。だから、仕留めてほしいとしか言いようがない。

それも美しく仕留めて」


わたしは言った

「相手が相撲取りみたいな体格で、決め技が押し出しだったらわたしの命は助かる

でも立川駐屯地に所属してる米軍のスナイパーだったら、相手の姿を見ることなく

わたしは、わかるでしょ?」


さくらちゃんは何も言わなかった。ピンクのふちのめがねをかけ、ネコ耳が生えたメイド

が目の前でわたしを頼ってる。しっぽをゆらゆらさせながら。ネコ耳に見えるけど、

たぶんきつねの耳だと思うけど


             おにいちゃん、さくらのこと助けて


とか言いそうな雰囲気で


わたしは言った

「わたしはこれからもこの神社でご奉仕したい。まだ始めて7日目だもん

美しい振る舞いも身につけたい。この神社の雰囲気も好き

 歴史がある桜の御神木も気に入ってる。先輩はみんな仲良いし、お友だちも

できた。土曜日、その子とタリーズでおしゃべりするの


ここのタリーズコーヒーじゃないよ。矢川駅前のね

  神主さんは、新入りのわたしがみんなと馴染めるように配慮してくれる

あの人はご祈祷の時、ここの神さまに真剣に祈りを捧げるいい人なの

清らかな場所を、わたしの居場所を、神社もろとも燃え盛るようにする存在を、

どんな存在だったとしても、美しく仕留めてみせる


街の人も悲しむ木花神社は一橋大学と女子体育大と並んでこの街のシンボルだから

750年の歴史のある神社にそんな事はさせない」


さくらちゃんは、両手でスカートを少し持ち上げ立ち上がった

長い黒髪の頭に生えたねこみみ。ふくよかな胸につけたリボンもピンク色

ワンピースは細いウエストから下にいくにつれ広がっていく


彼女のシルエットは砂時計みたい

実際、ろうそくの明かりで壁にで


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