第四章 清楚系高級メイドと抹茶ラテ
第四章
わたしは言った
「あなたの事を、メイドさんになったあなたをなんて呼んだらいい?」
「あらかちゃんの好きなように呼んで」
「清楚系高級メイド」
「それはいや。メイドというのは海の向こうのものでしょ。雇われたご主人に代わって
家事をする。わたしはお給仕中、ここに来る方にご奉仕するの
わたしは誰にも雇われない。わたしのご主人は、わたし自身ね
あらかちゃんも自分の事をそう考えて。ここでご奉仕していても、あらかちゃんの
ご主人は最後は結局、あらかちゃんだって」
抹茶ラテは和風か?そして先ほどのそもそも
本当の名前は、うんぬんのやりとりと同じルートをたどっている気がする
呼び方さえ決まればいいんだから、適当に和風の名前で呼ぶことにしよう
わたしは少女がかけている、さくら色のふちのめがねに目が行った
「さくらちゃんって呼ぶ」
「それはわたしにぴったりのお名前ね」
これで本題にたどり着ける
「さくらちゃんは神さまね?お願い事きいたりかなえたりするのね。きつねさんとか
メイドさんになって」
「ここに来てくれたみなさんの願いが叶うといいな、といつも思ってるよ」
「さくらちゃんが叶えてくれるんじゃないの?」
「どうかな?中学2年生のわたしにはよく分からない」
さっきは貞淑な話し方をする淑女なきつねだった
女子更衣室から戻ったら思春期のメイドに、つまり中身まで変わった事を知った
つまり、ほとんど何も分からない、という事が分かった