08.08.ヒーローとの再会
フェイク動画が功を奏したのか、偶々見つけた事件現場の証拠動画が功を奏したのか、武神さんの謹慎処分は早々に解かれ、十六夜 たちは退学処分になることが決定した。どの道、葦原学園に転校するって事だったから、もう会うことも無かったんだろうけど。
ちなみに、証拠動画ってのは、私のスマホで録画してたのをそのままサーバに転送してたやつ。録画と同時にサーバに転送してたみたいで、スマホは壊されちゃってたけど、ちゃんと証拠として残ってたの。偉いよね、私。っていうかテスラ。
映像としては殆ど写ってなかったんだけど、音声はしっかり記録されてたからね。
「武神さん、今日から学校来るんだったよね、水無」
「ええ、先程まで一緒でしたから。ただ、手続きがあるとかで教室に顔を出すのは2限からになるようですわ」
水無は武神さんと家が近くて、いつも一緒に登下校してるんだとか。幼馴染ってやつかな。それとも……
「久しぶりだよな、武神の奴。元気にしてたか」
「元気というか、いつもどうりでしたわよ」
「やっと武ちゃんに会えるんだぞ♪」
「うん、良かったね、一刃」
嬉しそうだね、一刃ちゃん。
そして、いよいよ対面の時。
「あっ、武ちゃんだ♪。寂しかったんだぞ~」
「やあ、久しぶりだね、香取さん」
ふーん、これが私を助けてくれたヒーローくんか。伊織に聞いてた通りのイケメンね。
私の事助けてくれたみたいだから特別な関係なのかなって思ってたんだけど……
「おはよう、透さん、伊織さん、水無も」
「おはよう、武神さん。透、武神さんよ」
「おっはよ〜。で、早速なんだけど私とはどういう関係だったの? 五人も相手に臆すること無く助けに来てくれたんでしょ。恋人だったり?」
「いや、恋人というわけでは……」
ヒーローくんの視線の先に居るのは……伊織? 男の子同士で? 一刃ちゃんの可能性は頭にあったけど、まさかの伊織なの? えっ、えっ?
「じゃあ、私とは只の友達ってところかな?」
「只のではなく、大切な、だけどね」
「そっかぁ。兎に角、ありがと、助けてくれて」
ちょっと期待してたんだけどな~、そういうことなら仕方がないか。
でも勿体無いなあ。伊織だってイケメンなのにね。血が繋がってるのが残念なぐらいに。いや、仕方なくないじゃん。伊織がそういう道に誘い込まれないように守ってあげなくちゃ。
「透さん、そのネックレスは……」
「ああ、これ? 伊織が持っててくれたみたい。誰から貰ったものなのかは覚えてないんだけどね。大切なものだってことだけは覚えてる」
「そう……なんだ」
「これがどうかした?」
「いや、別に……。それより、透さんに謝らないと。こんな目に合わせてしまうなんて、ボディーガード失格かな」
「ボディーガード?」
「ごめん、覚えてないんだったね」
「私が依頼してたってことかな?」
「まあ、そんなところなんだけど。十六夜 に付き纏われてるからってね。あと、正清さんにも」
ふーん、そうなんだ。
「で、依頼の報酬は?」
「そういうのは無いよ。大切な友達だからね」
「何それ、酷いな、私」
こんなイケメンを無報酬でこき使うとか……、伊織との関係をネタに揺すってたりとかしてないよね……
「そうだ、中間試験も近いけど、いつもはどうしてたの? 皆んなで自習室?」
「前回一緒に勉強しようとしてはみたんですけどね。少し騒がしくなってしまいまして」
「そうなんだ」
「ぼくは水無と。家も近いからね。透さんは伊織さんと」
「私も武ちゃんと一緒がいいんだぞ!」
「そうだね。また三人で自習室に行こうか」
「えへっ」
うん、一刃ちゃんが武神さん狙いなのは間違いなさそうね。
「あの……私は……」
霊雷ちゃんの視線の先に居るのは……伊織かあ。いいね、いいね。お姉ちゃんが応援してあげちゃうぞ!
「霊雷ちゃんは私たちと一緒に勉強しよっか。丁度三人づつになるし。ねっ、伊織」
「う、うん。そう……だね」
あれ、嫌だった?
でもダメだよ、武神さんは。霊雷ちゃんが嫌なら水無とかどうかな。おっぱいおっきいし。
「何か?」
「いや……別に」
◇◇◇
「ふ〜ん、いつもこうしてたんだ、私達」
「そう、だけど」
霊雷ちゃんと三人で自習室で勉強したけど、私の記憶が心配だとかで、伊織が部屋に来てくれた。
そっか、いつもこうやって二人で勉強してたんだ……
「こんな風に肩が触れ合っちゃったり?」
「……」
また赤くなってる。可愛いなあ伊織。
「不意に膝と膝がくっついて、お姉ちゃんの生足にドキドキしちゃったり?」
「もう、透、真面目にやってよ」
「だってえ、伊織が可愛いんだもん。伊織の所為だよ」
「勉強する気が無いなら一人でするから、透も自分で――」
「ごめ〜ん。真面目にやるから。行かないで、伊織」
なんか楽しいな、こういうの。




