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08.05.友人

 「おはようございます、(とおる)さん、伊織(いおり)さん」


 「おはよう、水無(みな)さん。(とおる)水無(みな)さんよ」


 彼女の事は覚えていない。事件当日、一緒にカラオケに行ってたみたいだから、仲は良かったんだと思う。


 「おっはよう~」


 こんな風に挨拶してたかどうかも判らない。


 「まあ、入学式を思い出しますわね。本当に覚えていらっしゃらないのですか?」


 そっか、入学式もこんな感じだったんだ、私。


 「ごめん、水無(みな)さん。何も覚えて無いみたい」


 「そうですか……、では、また一緒にお風呂に入らないといけませんわね。それから、水無(みな)でいいですわよ。以前もそう呼んで頂いていましたので」


 またって……、そういえば殺風景な部屋の主にしては珍しいぐらいキュートなお風呂グッズは彼女らのプレゼンとなんだよね。一緒にお風呂に入ったりしてたんだ。


 「ありがとう、水無(みな)


 「はい。どういたしまして」


 「おおー、姫神(ひめがみ)、会いたかったぞ。他の男にやられて……、いや、そんなことはどうでもいい。俺の愛はそんなことで揺らいだりはしないぞ」


 「ええっと……、誰?」


 「そんなっ……、忘れてしまったというのか、俺のことを。いや、それも問題ない。また育めばいいだけのことだ。さあ、先ずは俺の胸に飛び込んで来い、姫神(ひめがみ)


 なんかキモい……


 「私、こんな変なのと特別な関係だったの?」


 慌てて水無(みな)の顔も見る。

 水無(みな)は首を横に振ってくれた。そして、こうも付け足してくれたんだ。


 「火無(ひのない)さんが一方的にストーカーしていただけですわ」


 「はあ~、よかった~」


 「気を許すとスカートを捲られますので関わらないほうがいいですわよ」


 「スカート捲り……。キモいから私に近づかないで」


 「何を言っている、俺とあの日々を取り戻すんだ。そうだ、今すぐ俺の口付けで思い出させてやる。俺の愛の力で。さあ、姫神(ひめがみ)


    バシッ


 私に抱き着こうとした火無(ひのない)に電撃を放つ女の子。


 「姫……ちゃん、大丈夫なの?」


 「うん。ありがとね。えーっと……」


 「霊雷(れいら)


 「ごめん、覚えてなくて。でももう大丈夫。霊雷(れいら)さんね」


 「さん……」


 なんか悲しそうな表情になっちゃったんだけど……


 「えっ、呼び方違った?」


 「霊雷(れいら)ちゃんって呼んでたんだぞ! そして、私のことは一刃(かずは)ちゃんってね~。忘れちゃったならもう一度友達になればいいだけなんだぞ♪」


 「ありがとう、一刃(かずは)ちゃん。霊雷(れいら)ちゃんも宜しくね」


 「うん」


 この二人の事も覚えてない。一緒にカラオケ行ってたんだよね。あの場に居た人の事を忘れちゃったんだ。


 「姫ちゃん、体は大丈夫なのか? エロいことされたんだろ、妊娠とか、病気とか、兎に角色々と大丈夫なんだよなっ」


 「な、何、この馴れ馴れしい人」


 「彼女は得利稼(えりか)さん」


 「えっ……、女の子なの?」


 男子の制服だし、見た目も完全に男なんだけど……


 「裕人(ゆうと)だ。確かに出会った頃はそんな名前だったが、今は大金(おおがね) 裕人(ゆうと)だ。俺の事も忘れちまったみたいだな」


 そういうことか。この人、奇病の感染者なんだ。女の子だったのに男になっちゃったのね。しかも、こんな不細工な……


 「あら、大変。気を付けたほうがいいですわよ、彼女、やたらとスキンシップを取ろうとしてきますから」


 「そう……なんだ。ありがとう、注意するね」


 元々女の子だったとはいってもね、今の見た目がこれだから触られたくはないかな。


 「そんな事言わねえでくれよ、姫ちゃん。今までのことは水に流してさ、また楽しくやろうぜ! そもそも触ったのは女同士の時の事で、最近はそんなことしてねえんだからよ」


 「そうなの? 水無(みな)


 「さあ、どうかしらね」


 「どうかしらじゃなくてさぁ、頼むよ水無(みな)ちゃん。伊織(いおり)も何とか言ってくれよ、このままじゃ姫ちゃんに口きいてもらえなくなっちまうよー」


 「えっ、うん、割と仲良かったみたいだよ。夏休みに一緒にプールに行く約束してたりとかね」


 伊織(いおり)が言うなら、そうなんだろうな。別に、火無(ひのない)って人程嫌な感じもしないし。


 「うふっ、そうですわね。触ろうとしなければもっといいんでしょうけどね」


 そうなんだ。まあ、触られないように注意すば大丈夫なのかな。


 「人が心配してるのによぉ。言いたい放題言いやがって」


 そっか。私のこと、心配してくれてるんだもんね。


 「ありがと、得利稼(えりか)。ドクターも膜は無事だって言ってたから大丈夫だよ」


 「えっ、膜?」


 「ん? そうだ、放課後、2体裏に来てもらってもいい?」


 「へっ、2体裏……、行く、絶対行く。何なら今から行って待っててもいいっ!」


 他に頼める男子もいないし、得利稼(えりか)なら適任かな。なんか多少無理しても平気そうだしね。


 伊織(いおり)によると、私は入学早々クラスの皆んなから嫌がらせを受けていたらしい。

 でも、水無(みな)伊織(いおり)も、顔も覚えてないヒーロー君も私に嫌がらせなんてしていない。寧ろ逆で、私のことを助けてくれたんだとか。じゃなきゃカラオケなんて行かないよね。

 得利稼(えりか)は嫌がらせには加わてなかったみたいだし、問題が解決してからは結構仲良くしていたらしい。女の子同士としてね。

 一刃(かずは)ちゃんと霊雷(れいら)ちゃんはクラス替えで1組に来たから、そもそもその件には関わってないんだとか。

 反対に、火無(ひのない)はほんと最低。今でこそ愛だの何だの言ってるけど、私のこと目の敵にしてたんだって。


 あっ、得利稼(えりか)元々女の子だったわけじゃなくて、奇病で女の子になってたのが元に戻ったみたい。どっちでもあまり変わらないけど。


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