07.04.監視任務
大金さんのお陰かどうかは置いといて、透は見事会長選に敗北し、2期連続で天照会長が生徒会長を務めることとなった。
なったんだけど……
透は突然やって来た会長に連れられて教室を出ていくところだった。
「大金さん、あれって副会長の件なの?」
「さあな。校長室に連れてかれたみたいだから違うんじゃねえのか?」
「校長室?」
「ああ。また何かやらかしたのかよ、姫ちゃん」
「またって……」
否定は出来ないけど……
きっと待っても無駄だろうから私は先に帰ることにした。
で、透ったら21時過ぎになって漸く帰ってきた。会長の車に送られてね。って事は、今までずっと会長と一緒だったって事だ。
「お帰り、透。遅かったね」
「う、うん。ただいま、凜愛姫」
なんかよそよそしい。
「会長と一緒だったの?」
セキュリティシステムの管理用の部屋って言ってたっけ。風紀委員長の透と会長が1つづつ鍵を持ってて、2つ揃わないと開かない部屋。なんだか二人で密会するための部屋みたいじゃない(怒)。まさか、そこにいたんじゃ!!
「えっ、うん、そうなんだけど――」
「副会長の件?」
「いや、そうじゃないん――」
「言えないような事、なんだ……」
別に透とは付き合ってるわけじゃないんだけど……
透に貰ったネックレスを握りしめ、あの時の店員さんの言葉を思い起こす。
『パートナーとの愛情を深め、永遠に変わらない愛を約束するって意味が込められているから』
深まってないのはパートナーじゃないからかな……、透が失くしちゃったからかな……
「ここだけの話しなんだけど、成績を管理するシステムに侵入されちゃってさ、期末の点数が改竄されたみたいで校長から極秘で調査を任されたんだ」
「極秘って、話しちゃっていいの、そんな事」
「勿論。凜愛姫も調査メンバーだから」
「私も?」
「そう。校長の話が終わった後迎えに行ったんだけどさ、帰った後だったみたいだったから……、それで今日は会長と二人で……。でも明日からは凜愛姫も一緒だから」
気にしてくれてたんだ、私のこと。
「明日から、ね……」
「ごめん、でも調査してただけで別に何もなかったし、あるわけないんだけどね……。だから、その……」
少しは効果あるのかな、これ。透に貰ったネックレスをもう一度握りしめる。
「そうなんだ。それで、私は何をすればいいの?」
「凜愛姫、怒ってないの?」
「怒ってないよ?」
今日会長と二人でいたのは大目に見てあげる。待たずに帰っちゃった私も悪いから。
「調査対象がセンシティブだから一人で行動しないようにって。システムの調査は僕がやるから、凜愛姫は僕が変な事しないように見張っててくれればいいのと、相談に乗ってもらったりとか……、あとは報告書もお願い出来たら」
なんだ、透と一緒にいればいいだけなんだ。そんなの頼まれなくてもやるわよ。会長と二人きりになんてしたくないもん。
「わかった。ずっと透のこと見張っててあげるね。会長と変な事しないように」
「いや、そうじゃなくて、僕がシステムに変なことしてないって事を証明して欲しいんだけど」
「わかってる。ついでにそれも任されてあげる」
「ついで……」
そう。そっちはついで。透がそんなことするわけないから。でも、会長とのことはちゃんと見張ってないとね。
「じゃあ、今から監視始めるね」
「えっ、今から? 家に居るときは別に――」
「家からでもやろうと思えば出来るんじゃない?」
「流石に無理だし、誰もそこまで疑ってないから――」
「念の為にね」
会長と二人でいたっぽいから私も一緒に居させて貰うんだからね。
「じゃあ……、お風呂も?」
「えっ、お風呂? お風呂は……」
そっか、お風呂入るよね。透と一緒にお風呂……、どうしよう、心の準備が……
「僕は構わないけど、凜愛姫は平気なの?」
待って、待って、待って。透は平気なの? 一緒に入っていいの?
「平気じゃないよね」
私は……、こんな体は見られたくない……かな。
「お、お風呂にパソコンは持ち込めないから、あれよ、外で……、ドアの外で見張ってるね。あああ、でも覗かないから安心してっ」
「凜愛姫がお風呂のときはどうするの?」
「私はもう入ったから大丈夫」
「明日は?」
「明日……、明日は……」
どうしよう、自分で言い出した事だけど、どうしたらいいの? お風呂に入らない、ってのは無理だよね。明日だけならともかく、明後日は? その次は? 次の次は? いつまで続くの? ずっとお風呂に入らないなんて嫌。
「じゃ、じゃあ透がドアの外で、ずっと私と話してる……、とかで」
「凜愛姫が嫌じゃないならそれでもいいけど……、別に男の体には興味無いから安心していいよ」
う、うん、そうだよね。
「じゃ、じゃあ、どっちの部屋で寝る?」
「んん? どっちのって?」
「部屋で一人になったら何でもできちゃうじゃん」
そ……そっか……。家で監視するって言っちゃったらそうなるよね……
「やっぱり――」
「ベッドは別々ね。一緒でもいいんだけど、に……妊娠とかはちょっと……ね」
「しないよっ、そんなことっ!」
「う、うん、解ってるけど……」
うう、あの日の事か……。あれは意図してやったわけじゃなくて……って、ちょっと覆いかぶさってただけじゃない。しかも無意識だったんだから。
「じゃ、じゃあ後で透の部屋に行くね」
「マットレス運ぶの手伝おうか。調査もいつ終わるかわからないから」
「うん……、お願い」
そっか、暫く透と一緒に寝られるんだ……
このまま解決しなくてもいいかな……




