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06.10.ない

 凜愛姫(りあら)がプレゼントしてくれたネックレス……


 『パートナーとの愛情を深め、永遠に変わらない愛を約束……』


 店員さんに言われた言葉を思い出す。そんなネックレスを無くしてしまった。凜愛姫(りあら)との絆が……


 「(とおる)さん、まだ着替えていらっしゃらないの?」


 「水無(みな)……、うん、ちょっと考え事を」


 「そうでしたわね、あんな事の後ですものね」


 「別にそういうわけじゃ……」


 あの時にはもう無かったのかな。だから……


 「では、先に教室に戻ってますわね。ホームルームまでには着替えてきてくださいね」


 「うん。大丈夫、すぐに着替えるから」


 今朝着替えた時にはちゃんとあったんだよ。でも、その後は意識してなかったからいつ無くしちゃったのか全然わからない。


 借り物競争の時は凜愛姫(りあら)以外には触れてない。しかも、ネックレスが無くなるような接触も無かった。

 怪しいのは騎馬戦かな。八咫鏡(やたのかがみ)も奪われたし、鉢巻だって取られた。凜愛姫(りあら)の指に引っかかってとかウザ男の剛毛に引っかかってとか、でも凜愛姫(りあら)が持ってるなら渡してくれるだろうけど何も言ってなかった。ウザ男だったら……、考えたくもない。


 「校庭に落ちてるっ、探しに行かないと」


 そうだ、校庭に落ちてるに違いない。


 「(とおる)さん?」


 更衣室を出ていこうとしていた水無(みな)が振り返る。


 「ううん、何でも無い。気にしないで」


    ◇◇◇


 「(とおる)、一緒に……帰る?」


 「ごめん、ちょっとよる所が」


 「……そうだよね、ちょっと気まずいかな」


 「あはは、気まずい、ね」


 そういう事でいいかな。凜愛姫(りあら)に気付かれる前に見つけないと。


 凜愛姫(りあら)を見送り、武神(たけがみ)さん、水無(みな)霊雷(れいら)ちゃん、一刃(かずは)ちゃん、それに、得利稼(えりか)も、クラスの皆んながいなくなってからネックレスを探しに行く。

 でも急がないと日が暮れちゃう。人影が無いのを確認し、校庭へと駆け込むと、心当たりのある場所を探してみる。


 「ない……」


 凜愛姫(りあら)八咫鏡(やたのかがみ)を奪われたのはこの辺りだったはず。あの時に落としたんだとしたらここなんだけど……、ネックレスは見当たらない。


 「こっちにもない……」


 ウザ男に鉢巻を奪われた所にも。


 「何でっ、ここにもないっ」


 凜愛姫(りあら)にお姫様抱っこしてもらった所にも落ちてなかった。誰かと接触した場所なんて他に無いのに。


 「こんな時間に一人で何をしているのかしら?」


 途方に暮れていると、聞き覚えのある声が。


 「会長……、別に何も。会長こそ何で」


 校庭には誰も居なかったはずなのに。


 「それは、今にも泣きそうな声が聞こえて来たのだもの……、確か、“ない” だったかしら」


 「……」


 聞いてたの? 何処から見てたの?


 「一緒に探してあげるわ。探しているのは姫神(ひめがみ)君からの贈り物ね? あのブルーダイヤのネックレス」


 「どうしてそれを」


 ネックレスの事まで知ってる?


 「貴女がそんな顔をして探しそうな物なんて他に思いつかないのだけれど」


 「会長……、うん、無いんです。()……伊織(いおり)に貰ったネックレスが」


 その後、会長に手伝ってもらって日が沈むまで探したんだけど、ネックレスは見つからなかった。


 「これ以上は無理ね」


 「もう少し……、探してみます」


 「暗くて見えないと思うのだけれど……、そうね、明日の朝一緒に探しましょう」


 「会長……」


 「元気出しなさい。誰かが拾ってくれてるかもしれないわよ」


 確かに、灯りの灯っていない校庭は暗くて、捜し物どころじゃ無いかも。


 「ね?」


 「……はい」


    ◇◇◇


 「おかえり、(とおる)。遅かったね」


 「……ただいま」


 「今日のことなんだけど……」


 今日のことって……、そっか、キスしようとしたんだっけ。ネックレスに夢中で忘れてた。


 「あれは……、その……」


 「お、お風呂入ってくるね」


 「う、うん……」


 そんなことより、凜愛姫(りあら)に言えないよ、失くしちゃっただなんて……


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