06.02.助っ人
「お願い、一刃。体育祭の練習試合、剣道部の助っ人お願い出来ないかなあ。葦原に申し込まれちゃったんだけど二人足りなくてさ」
なーんて2組の人に頼まれちゃったんだけど〜、これってチャンス? 特に仲の良い友達ってわけでも無いんだけど、二人足りないのか。
「いいんだぞ! もう一人も私に任せちゃってね」
「ありがとう、じゃあ宜しくね」
◇◇◇
「というわけなんだけど〜、武ちゃんの予定を知りたいんだぞ?」
「剣道は経験無いからね」
「武ちゃんなら大丈夫なんだぞ! 適当に竹刀振り回してれば勝てるよ〜」
「それに、家の方針でそういうのは禁止されていてね」
「え〜、そうなの〜、がっかりなんだぞ↓」
「応援には行かせてもらうよ」
ま、いっか。応援してくれるんなら。
「どうした、一刃。メンバーが足りないのか?」
「そういうことだから〜、お願いなんだぞ、霊雷」
「何の話だ、詳しく訊かせろ」
「あっ、いおりん!」
「えっ、伊織……くん?」
ふふっ。
「ねえねえ、いおりんも応援に来てくれるのかな?」
「応援?」
「うん。体育祭で剣道部の練習試合に出ることになったんだぞ、わたしと霊雷」
「こら一刃、私はまだ……その……」
いおりんに見つめられて赤くなっちゃって。
「頑張ってね。応援するから」
「う……、うん。頑張る……」
これでよしっと。
◇◇◇
そして練習試合、当日。
二人足りないって言ってたぐらいで、出るのは団体戦なんだけど、私が先鋒で、霊雷が次鋒。
何回か剣道部の練習に付き合ったんだけど〜、弱くて三連敗しちゃいそうなんだもん。そうなったら私の出番が回ってこないんだぞ! 折角武ちゃんが来てくれるのに。
相手校の選手は弱そうでつまんなそうなんだけどな。あっ、でも大将の人は強いって噂なんだよね〜。葦原学園の生徒会長で〜、剣道部の主将。名前は確か……、大国 主って言ってたんだぞ。
「あっ、武ちゃんだ。いおりんも来てくれたよ、霊雷」
「う、うん」
「やっほー、武ちゃーん」
姫ちゃんも、水無ちんも、あとゴツいJKも、元JKか。
「先鋒、前へ」
さて、出番だ。
「始めっ」
5分間しかないけど、私の事だけ見てて欲しいんだぞ、武ちゃん。
相手は気合だけは十分。ちょっとスキをつくってあげると打ち込んでくるんだけど、そんなのな捌いて、次も捌いて、次も、次も。見ててくれてる? 武ちゃん。
鍔迫り合いからちょっとドーンってしたら簡単に倒れちゃうし。もうちょっと頑張ってくれないと武ちゃんにいいとこ見せられないんだぞ!
そんな感じで、あっという間に試合時間も終わりに近づき、最後に面を決めて終わり。
「遊びすぎだろ、一刃」
「鹿島さーん、頑張ってー」
「伊織……くん。が、頑張り……ます」
「ほらほら、リラックスしないといいとこみせられないんだぞ?」
「解って……る」
そして、霊雷の番。
剣道の経験無いみたいだけど、相手を行動不能にしたら勝ちってわけじゃないんだぞ? ちゃんと解ってるのかな?
「始めっ」
霊雷は正眼に構えたまま動こうとしない。相手も初心者なのかやっぱり動こうとしない。
「どうした、打ち込んでいかないかっ」
葦原の大将の一声で勢いよく面を取りに来たんだけど……
霊雷がすっと差し出した竹刀の先端が突き垂れに直撃。しかも、霊雷が踏み込んでたりしたもんだから、思いっきり後ろにふっとばされてったんだぞ。
「突きあり、一本」
武道経験者だけあって気勢も姿勢も言うこと無し。残心も示しちゃってるからそうなっちゃうよね。
「二本目、始めっ」
相手のコは腰が引けちゃってるんだぞ。霊雷がすっと前に出ると、怖かったのか自分の竹刀を落としちゃったよ。反則負けなんだぞ。
そんな感じで、私と霊雷は勝ったんだけど、中堅、副将、大将は葦原学園が勝利。予想はしてたけど、負けは悔しいんだぞ↓
「驚いたな。君たちが部員じゃないとは」
話しかけてきたのは葦原主将のおおくにい。
「ただの助っ人。今日だけ臨時の剣道部員なんだぞ!」
「是非手合わせしたいものだが、今日は時間が許さぬそうだ。残念でならない」
おおくにいはそんな事を言って去っていったんだぞ。
「霊雷ちゃんも一刃ちゃんも凄いね。かっこよかったよ〜」
「てへっ、なんだぞ♪」
「お疲れ様、良かったらこれ」
いおりんがペットボトルを手渡してくれる。
「あり……がと……」
よかったね〜、霊雷。




