04.01.会長は再び動き出す
かなり思い切った対応をしたつもりだったのだけれど、広まってしまった噂はなかなか払拭できないものね。男子は兎も角、女子の嫉妬混じりの感情を何とかしてあげなと。
「大金 得利稼……」
彼なんかは適任そうね。あんなふうに姫神さんを嫌っている様子も無いし。
「ねーねー、姫ちゃーん、たまには一緒に帰ろうよ~」
「ごめん、忙しいから無理。それに、得利稼は反対方向じゃん」
寧ろ好意を寄せているような所は気に入らないんだけれど、選り好みはしていられないわね。
「大金さん、少しお話したいのだけれど、いいかしら」
「天照会長~、得利稼に何か用ですか~、行きます行きます、何処へでもついていっちゃいます~」
姫神さんの事はいいのかしら……
生徒会室で話を、と思ったんだけれど、少し身の危険を感じるわね。
彼には女子生徒達が姫神さんの虜になるような企画を考えるように依頼したのだけれど、まさか、“メイドマッサージ” とは……
でも……、私も受けてみたいわね、姫神さんのマッサージ。幼少期は祖父母に育てられたみたいだからマッサージとか得意なのかしら、姫神さん。まあ、最悪そこはこちらで何とかしてあげてもいいのだけれど。
「鹿島 霊雷に香取 一刃」
1年2組の評議委員2名で、姫神さんの事を軽蔑している節がある。そして、それは周りも認めている事でもあり、そんな二人が姫神さんの魅力に気づいてくれれば周囲の姫神さんを見る目も変わっていくのではないかしら。
それに、何故かこの二人は私の言うことに素直に従ってくれるのよね。
彼女達も本心では解っているはず。姫神さんがそんな事をする娘じゃないなんて事は。只、抜いてしまった剣を収め損ねてるだけじゃないかしら。だから、私が手助けしてあげるわ。
「天照会長、お呼びでしょうか」
「鹿島さん、それに香取さん、貴女達二人にお願いがあるのだけれど」
「神楽様のお願いなら何でもきいちゃうんだぞ〜」
「一刃、言葉遣いに気をつけろ」
「構わないわ。友人に接するのと同じでいいのよ、鹿島さんも」
「で、では……、神楽様……」
彼女たちにはサクラになってもらうの。姫神さんのマッサージがとても気持ちいいって事にして、校内でふれ回ってもうらおうかしらね。
「そして、出来れば姫神さんと友人になってくれないかしら」
「姫神と……友人に……」
「彼女、とってもいい娘なのよ? 貴女達も会ってみれば解ると思うのだけれど」
「友達になればいいんだね〜、簡単、簡単」
この二人が親しげに接することで周囲の者たちにも親近感を与えることができるんじゃないかしら。
後は……、そうね、ミスコンなんかもいいわね。
箕浦 翔太、2年2組の評議委員で、昨年に引き続き文化祭実行委員長を努めている。我が校の学園祭、高天原祭を取り仕切るためだけに存在しているような人なのだけれど。
「この娘、ミス高天原にどうかしら」
「この娘って……、いいのかよ、連覇がかかってるのに」
「興味ないわ。それより、どうなの?」
「まあ、いいんじゃねえか、見た目は」
「そう。ではこの娘で決まりね」
「待てよ、投票前に――」
「十六夜 葉月」
「……」
「彼はいくら払ったのかしら?」
「な、何を言ってるのかわかんねえけど……、あれだ、この娘、優勝しそうだな」
「そう。なるべく話題になるようにお願いね」
彼が実行委員長になった昨年からオンラインによる投票方式に変更された。
サイト自体も彼が自ら制作したということだから、お金で結果を操作したんじゃないかと思っていたのだけれど、さっきの反応からして間違い無さそうね。投票用紙だったころから不正は繰り返されていたみたいだし、そもそも一人で何票も投票できていたというのは解消できたのだから、オンライン化の弊害という訳でも無いのだけれどね。
そもそも、学校公認の役職という訳でも無いのだから、ミス高天原以外は。と言ってもミス高天原も何かの権限を与えられるわけでも無いのだけれど、選ばれてしまうと学校紹介のパンフレットに始まり、何処かの部が活躍でもすればコメントも求められるし、OB向けの会誌にもコラムを掲載しないといけない。何かと忙しいのよね。
頑張ってね、姫神さん。




