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シンデレラのハッピーエンド  作者: 読み専
第一章 幼少期編
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閑話 高城静香の一生。

高城静香ちゃんの一生です。


やや胸糞かも(?)しれません。




 私の家族構成は、私、父、母、8つ下の弟の4人。


 父は有名な会社の重役を担っており、そんな父を偶然、良いところのお嬢様である母が見初めてお見合いの末に結婚。

 結婚5年目で私を身篭った。


 両親は母の実家の後を継がせるために男の子を切望しており、不妊治療の末にようやくできた子供が女の子で酷く落胆したらしい。物心つく前から、繰り返し「静香が男の子だったら良かったのに」と言われ続ければ、そう察するに容易い。


 私が記憶している中で、初めて「男の子だったら」と言われたのは、3歳にして九九を全て(そら)んじることができることを、両親に両親に褒められたい一心で報告、披露した時だった。


「こんなに優秀なのに……性別が違ってたら良かったのに…」


 その時に「喜ぶべきか落胆するべきか判らない」と言う様な複雑な感情を秘めた瞳を向けつつ、母が呟いた言葉は、未だに私の心の奥深くに根付いている。




 「男の子でなくとも最低限優秀であれば良い」と思ったのであろう両親は、私にスパルタながら質の良い教育を施した。おかげで、小中高と成績は常にトップクラスを保てていたが、遊ぶ暇の一切ないスケジュール管理は、私の不満を大いに加速させた。


 当てどころのない不満や苛立ちを抱えながら小学2年生になったある日、母が身篭っていたことが判明した。


 何事もなく出産を迎え、生まれたのは両親待望の「男の子」だった。


 その日から、家の中が弟を中心に回り出した。


 私につけられた家庭教師は弟に移され、無理矢理通わされていた塾は、「弟の養育費を増やしたいから」と言われ、いきなり辞める事になった。


 それから、私は両親に放置される様になった。最低限の世話は焼いてくれたが、弟が最優先である事に変わりはなかった。私がインフルエンザに罹っても、弟のおねだりを優先され、まともに看病してもらえなかった、なんて事もあった。



 私が中学生になった頃には、その最低限も疎かにされた。食事は常に私が作り、家事は丸投げされた。おかげで花嫁修行なんてしなくても、家事は人並み以上にこなせる様になった。

 無駄に舌が肥えてしまっていたからだろう。並の料理や自分という素人が作ったものでは満足できず、精進する間にプロと遜色ないレベルになった。和食から洋食、中華やイタリアン等、大抵のものはできるようになった。勿論、フルコースも作れるし、お菓子やパンもイケる。料理は、今の私の一番の趣味で特技だ。


 高校からは、自立し、一人暮らしを始めた。「少しは寂しがってくれるかも」なんて淡い期待は、


「ああ、好きにしなさい」


と、こちらを見もせずに放たれた父のその一言によって砕かれた。


 一人暮らしは、時折生じる寂しさを除けば快適だった。高校を卒業し、大学へ進学するときもそのアパートで生活していた。


 弟は、甘やかされて育った。だから、ちょっとしたことで癇癪を起こす。気に入らないものは視界から排除できるし、欲しいものはなんでも手に入るような環境だったのが悪かったのだろう。顔は両親のおかげで整っているが、中身の伴っていない残念なイケメンに成長していた。


 弟は、事ある毎に私を貶めようとした。でっち上げで両親から叱られた回数は、最早両手両足の指の数を超えている。

 その訳を聞いて、「気に入らないけど、あの人達(両親のことだ)はお前を消してくれないし、仕方なく。せめて少しでも離れられたら良いなって」と、悪びれもなく言われた私の気持ちは筆舌に尽くし難かった。


 私は、両親のように全てを肯定するやり方ではないが、私なりのやり方で弟に愛情を注いできた。目にいれても痛くないと、本当に思っていた弟に裏切られてしまった私の気持ちが解るだろうか?何をされても、訝しむ様なことがあっても、「きっと気のせい」で約10年を過ごしてきた私の気持ちが。


 実家には、成人式の着替えに帰っただけだったので、そのまま会場に向かっていた。慈しんでいた弟に言われた言葉のショックで、私の足取りは覚束なかった。フラついていたのが悪かったのだろう。クラクションに気づいて視線を向けると、驚愕に開かれた運転手と目があった。


 そのまま、私の意識は暗転した。




前世含め、不遇で不憫な主人公でした。


ありがとうございました。

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