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シンデレラのハッピーエンド  作者: 読み専
第二章 王宮呼び出し編
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雨宮桧璃、晩餐に挑む。




「お待たせしました、暁三王子殿下」


 なにかの嫌がらせか、はたまた唯のうっかりか。使用人無しで着替える羽目になった私は、無属性魔法の念動を駆使してドレスを身に纏った。まあ、その時に綺麗な肌に戻せたからこっちとしては嬉しい誤算、とも言える。

 正直、貴重な魔力をこんなことに使えるのは私くらいのものだから、これはあってはいけないうっかりであり、暁三王子のマナー教育をやり直すべきだと訴えたい。

 まあ、これは暁三王子なりの能力確認みたいなものである事は分かっているのだが。


 幼馴染に弱い国王に、妙なところで抜けている2人の兄王子。普段の言動から、末っ子ということで甘やかされて育ったと思われがちな暁三王子。だが、兄が妙に抜けている為に一番苦労が多かったのが彼であり、一番精神的に大人なのも彼である。王位を兄に譲る気満々なので、操り辛い&王には向かない性格を目指して、数年かけて懸命にキャラを作り上げた努力の人だ。もっとも、作った性格が想像以上に自分に合っていた為、一部本性と化してしまっている所が有るのでなんとも言えないが。


「え、早いね、着替えるの。今、侍女を呼んだ所なんだけど、要らなかったみたいだね。

 1人で着るの、慣れてるの?それとも、魔法とか使った?」


 表面上は純粋な興味を繕ってはいるが、探るような視線が隠しきれていない。

 暁三王子は、視線から感情を消すのが大の苦手だ。そんな所が国王に向いていないと自覚し、王位を兄に譲る気でいる。その位であれば、十分に許容範囲内だと兄王子達は思っているし、国王も、自分の至らない点を自覚できるのは人間として大事なことだと思っている為、本人の主張が受け入れられる日は多分来ないのだが。


「はい。流石にコルセットは1人で着付けられませんので、念動を使わせていただきました。…もしかして、王宮内では魔法の使用は禁止されているのでしょうか?」


「いや、王宮内の国王の居住区付近では結界が張られているけど、それ以外では生活が不便になるから、魔法の使用は大丈夫だよ。

 でも、これから向かう食堂は王の居住区にあるから、魔法は使わないでね」


「はい、分かりました」


「…じゃあ、行こっか」


 私の言葉に嘘がないと判断した暁三王子は、私をエスコートして食堂へ向かった。





ーーーーー






「失礼します」


 ノックの返事をもらい、私と暁三王子は食堂に入室する。


 そこには、物語の中にしかないと思っていた、3メートル近い長さをした、食べきれないほどに食事が並んだ煌びやかなテーブルが鎮座していた。


 半ば放心する中、暁三王子のエスコートに従って、いわゆる誕生日席に座る国王と近い席に座らされる。


 既に、国王の両脇に第一王子の晴日(はるひ) 真昼(まひる)と第二王子の晴日(はるひ) 宵ニ(しょうじ)が揃っていた。暁三王子が席に着くと、改めて王子3人の自己紹介が入る。


「はじめまして。私は晴日 真昼。父上に呼ばれたり学園内ですれ違ったりと、これからも顔を合わせる機会があると思うので、その時には声をかけてくれると嬉しいです。よろしくお願いしますね」


 ゲーム通りにアルカイックスマイルを浮かべる第一王子。


「私は晴日 宵ニ。…私には、どこですれ違おうと声をかけなくて結構です」


 同じくゲーム通りにツンとすました第二王子。


「改めまして、僕は晴日 暁三。僕にはいつでも声かけてくれて大丈夫だよ!むしろ、僕から進んで声かけちゃうだろうから、そのつもりでね!」


 …何故だか、ゲーム以上に初対面時の甘えが強い第三王子。今度は、瞳に剣呑とした色が一切見られなかった。ゲームでは、まだまだ警戒心が強いはずなのに…何故?


「…この度公爵令嬢となりました、雨宮桧璃と申します。よろしく、お願い致します」


 ちょっとした違和感による疑念を押し込め、今できる精一杯の作り笑いで自己紹介をする。


 その後、国王の号令で晩餐が始まった。そして、料理の美味しさに夢中で箸を進めているうちに、押し込めた疑念を、私はすっかり忘れてしまっていた。




ありがとうございました。

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