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シンデレラのハッピーエンド  作者: 読み専
第二章 王宮呼び出し編
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雨宮桧璃、食事にたどり着けない。

お腹が空いて力が出ない!な回です。




 「ふぅむ……。栄養失調気味ですな。それに、新しいものと古いものの鞭の痕や火傷の痕。……これはナイフなどの刃物でつけられた傷痕では?それも最近の。少し化膿しかかっております。あと数日治療が遅くなれば切開の必要もあったでしょう。今、治癒魔法を使えば問題はありません。今日中に派遣しておきます。」


 おじいちゃん先生が診て、そう診断する。


 治癒魔法なら私が得意なので、自分でかけておく旨を伝えてお引き取り頂く。


「侍女さん。これで、これでご飯解禁ですよね?もう、お腹ペコペコなんですよ」


「かしこまりました。ですが、いきなりお肉などを食べると戻してしまうかもしれませんので、お粥をお持ちしますね」


 私の食欲に呆れた顔をした侍女さんが退室する。


(やっとご飯!やっとご飯!!やっとご飯だー!!!)


 心の中でそう叫びながら両腕を上へ勢い良く突き出し、背中からベッドに倒れ込む。


(何が出るのかな??お粥であろうと、塩味以外を食べるの3、4年振りになるんだけど!あーもう!楽しみだよーー!!)


 塩味のお粥が出る可能性も無きにしも非ず(あらず)なのだが、それでも腹いっぱい食べることはできるだろう、と思い、際限なくテンションが上がり続ける。


(満腹な状態とか、それこそ両親が他界して以来じゃん!!)


 手足を興奮からバタつかせ、空腹が加速する。


グゥーー


 桧璃のお腹から、隣まで聞こえたのでは?と思えるくらいに大きな虫の声が響いた。


(うっ!またお腹なっちゃった!!恥ずかしいーー!!)


 羞恥心をごまかす為、より手足のバタつきが加速する。


 そこへ、


「失礼します」


 と、待ちに待った食事を持った侍女さんが入室。


 バタつかせていた手足を見られることこそなかったが、そのせいで乱れたベッドの様相までは誤魔化せず、


「あの、私がお食事をお持ちするまでに何が……?」


 と、聞かれてしまった。


「え、えへへ。久々にまともなご飯が食べられるんだと思うと、興奮してしまって。ごめんなさい」


 ぎこちない笑顔を浮かべ、羞恥心から頰を朱に染めつつ答える。


「さ、左様でございますか。消化にいいお粥ですが、5日振りのお食事ですので、ゆっくりお召し上がりください。私はこの部屋の外で控えておりますので、お食事が終わり次第ベッドの脇にあるベルを鳴らしてお知らせください。食器を下げさせていただきます」


 若干引かれた様なリアクションを戴いてしまったが、今はそれより目の前のお粥に意識が持っていかれていた。言われた内容を聞き流しながらも、条件反射でコクコクと某赤い牛型のお土産の如く頷きだけを返した。

 侍女さんが退室したとほぼ同時にスプーンに手を伸ばす。



 が、その手が届く前にコンコンとノックの音が部屋に響いた。


 「せっかくいいところだったのに」と駄々っ子の如く頰を膨らませ、不満げな声で、


「どうかしましたか?」


 と返事を返す。


「お食事中に申し訳ありません。国王陛下がお出でです。お通ししてよろしいでしょうか?」


 先ほどの侍女さんからそう返された桧璃。


(こっ、国王陛下!?なんでまたこんなタイミングで!!うぅ…あとちょっとだったのにぃ!!

 はぁ、せめて食事の後にしてほしかった。今の私にマナーとか気にしつつ丁寧な対応しろ、とかどんな無理ゲーよ?立っただけで崩れ落ちる自信があるっていうのに!)


 心の声で仮にも一国の主である国王に呪詛を吐く。だが、長く待たせるのも失礼にあたるので渋々入室の許可を出し、貧血と空腹からふらつく体に鞭打って立ち上がり、カーテシーをする。身体中の筋肉を酷使するポーズなので、今の桧璃からすれば自殺行為に他ならないのだが、そこは有り余る魔力でカバーする。それでも、もって30分以下だ。


「失礼する。……桧璃嬢、急な訪問で申し訳ない。顔を上げてくれ。病み上がりなんだ、まだ横になっていなさい」


 なぜかは知らないが、国王ともあろう人に典型的なお節介焼きのオカン像が重なって見えたのは気のせいだろうか?…気のせいという事にしておこう。


 手早く護衛を除くお付きの人を部屋の外に追いやり、私をベッドに寝かせてから近くの椅子に腰掛けた国王は、今回起こった諸々の事件について説明を始めた。


 曰く、容姿と生い立ちから、私が国王の駆け落ちした同級生の忘れ形見であることが判明した。

 曰く、駆け落ち後も貴族籍を抜かれることなく両親は捜され続けており、本来の私は公爵家の令嬢として育つはずだった。

 曰く、雨宮男爵は、公爵令嬢を虐待した罪により多額の賠償金が発生している。

 曰く、私の前に孤児院から連れてこられた子供の白骨死体が発見され、それをきっかけにいろいろな不正の証拠が見つかり、領地と爵位を一族から没収する事になった。

 曰く、雨宮男爵には、賠償金支払いの上に終身刑が決定している。

 曰く、雨宮夫人とその子供は庶民に落とすことになった。

 曰く、王宮は無理だが、母方の公爵家にて身柄を預かる事になった。そこでも何かある様なら、今度こそ王宮で身柄を保障させてもらう事になる。



 ざっとまとめるとこんなものだろうか?


 想像以上に長い話で、空腹が限界な私の腹が抗議を挙げようとしている。

 いい加減食べさせてくれないかな、と目の前にあるお粥を見つめる。


 が、再び国王の話が始まった。まだ食事にありつくには時間が必要な様だ。



ありがとうございました。

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