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シンデレラのハッピーエンド  作者: 読み専
第二章 王宮呼び出し編
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雨宮桧璃、ストーリーの根底を覆されそうになる。




 翌朝3時。


 空腹感と共に目が覚める。


 昨日は確か、午後6時から午後7時まで()()()()に付き合わされ、寮に帰って早々に寝落ちしたんだっけか?


(あー、制服…どうしようか……?)


 義姉の折檻でボロボロになってしまった元新品の制服。所々に血が滲み、黒っぽくなってしまっている。今から浄化、手縫いでの修復をすると、また朝食を食べ損ねるかもしれない。


 いっその事こと、オール魔法での修復をしてしまおうか?うん、それが良いだろう。どうせ、自分に制服を買うお金や買ってくれる相手はいない。直さないと登校が不可能になってしまう。使用する魔力は10分の1程度だし、私生活では魔法を使う機会はあまりないし、このくらいなら問題ない。


「えっと…まずは浄化(クリーン)で、修復(リペア)っと。これで良いかな?」


 この世界の魔法は、中二病のような小っ恥ずかしい台詞を言う必要のないタイプだ。あくまで、使いたい魔法名のみを唱えれば良い。魔力は1.2倍程必要になるが、イメージのみで魔法が発動する「無詠唱」も一応ある。だが、私は魔力を節約するために、魔物との戦闘以外では詠唱を唱える事にしている。


 きちんと魔法が発動したのを確認して、着替える。それから、時間に余裕があるのでちょっとだけ豪勢にした朝食を食べ、義姉の部屋へ向かう。


 義姉の支度を手伝い、魔法の適性鑑定の為に今日は鞄を持てない旨を伝え、先に登校する。


「えっと………取り敢えず、教務室に行けば良いのかな?」


 そういえば、昨日の養護教諭の先生は、「7時半に来い」と言っただけで、場所を聞いていなかったことを思い出す。


(まあ、どうせ教務室にでも行けばわかるでしょう)






ーーーーー







 教務室に到着して一言。


「すみません。私、昨日の入学式で倒れた雨宮ですけど、魔法の適性鑑定の為、養護教諭の先生に『7時半に来い』と言われて来ました」


シーン………。


 言ったは良いものの、そこにいる数人の先生方は反応してくれない。こういう時、どうしたら良いのか知らないので、対応に困る。


「あのー……」


 もう一度声をかけようとした時だった。


「あ、君が入学式で倒れた雨宮さん?魔法の適性鑑定だよね、こっちについて来て」


 後ろから、今来たらしい先生に声をかけられた。そのまま、その先生はスタスタとこちらをろくに確認しないままに歩いて行く。慌てて追いかけるが、相手は、ぱっと見30代で身長は180cm以上ありそうな長身の男性。たった155cmしかない私とは、圧倒的なまでのコンパスの差がある。


 あちらは、こっちを一切考慮せずにスタスタと進む。はしたないが、ろくに道を覚えられていない学園内で置いて行かれるわけにはいかないので、走りに近い早歩きでついて行く。

 時折置いて行かれそうになり、息を切らしながらもなんとかついて行った。




 目的地と思わしき部屋の前で、ようやく先生が止まる。


「じゃあ、これからこの部屋の中で魔法の適性鑑定を行う。ただ水晶に手をつけば良いだけだから、下手に持ち上げようとするなよ。壊したら、雨宮男爵家に請求書が届く事になる」


 息を切らしている私を無視し、一方的に説明して、その先生は部屋へ入っていった。


「はぁ、はぁ……もう、ちょっとくら、い、生徒にはい、りょってもんがあっても、良いじゃない、のっ!もう‼︎」


 小声で毒づき、その後を追う。




 それにしても、昨日の養護教諭といい、この教師といい、生徒に配慮が足りない先生が多すぎやしないだろうか?

 それとも、辺境伯以上の上流階級にだけ媚を売るタイプなのかもしれない。だとしたら、相当この学園が腐っている事になるな。はたまた、ここの教師には男爵令嬢よりも上の貴族しかなれないのか?

 だとしたら、選民思想持ちの教師ばっかりなんだな。



 八つ当たりを込めた思考を続けつつ、部屋の真ん中に鎮座している、占い師の使うような水晶に手をそっと乗せる。


 すると、「パリンッ」という音が、乗せた手のすぐそばから聞こえた。


 嫌な予感と共に、視線を手元に移す。そこには、バラバラになってしまった水晶()()()()があった。


「お、お前‼︎何やってんだよ!さっき、『触るだけで良い』って言っただろうが!」


 現在、私の耳に教師の言葉は入っていない。頭の中は、「混乱」の二文字で満ちていた。




(な、んで?どうして割れちゃったの!?ゲームでは、ただ七色に光った()()だったのに!

 ……もしかして、私が既に魔法を使っていたから?「魔法の腕が上がれば上がる程、魔力は多く、魔法の発動効率は良く、魔法の威力は強くなる」って、魔導書にあったし……。

 でも、魔力に水晶が耐えられない程だなんて、どうしたら良いの?これじゃあ、ストーリーと変わってしまう。

 それに、男爵家に請求書なんて行ったら、今度こそ殺される!

 この教師、割れた原因は私の触り方にあると思っているくらいだし、最悪「魔力なし」の烙印を押されてしまう!そうなったら、私は特待生クラスに入れないし、ゲームの前提条件が揃わないわ!ずっとあの男爵家に虐げられ続けるなんて嫌!!)


「あのっ!壊れたの、私の魔力のせいなんだと思います。今、魔法を使って水晶を直すので、もっと魔力量を広い範囲で測れる物でやり直させてください!」


 慌ててそう言い、水晶に手をかざす。教師に止められては困るので、スピードを重視して、今回は無詠唱だ。

 水晶の破片が光り、逆再生の動画のように元の形に戻っていく。

 その間、教師は呆けていたが、水晶が治ると同時に教室を駆け出して、別の水晶を持って戻って来た。


「おい、高い魔力でも耐えられるヤツ持って来たから、今度はこれでやってみろ!」


「は、はい!ありがとうございます!」


 誤魔化されずに、きちんと持って来てもらえた水晶のことでお礼を言い、教師から受け取る。


 たちまち、辺りは眩い七色の光で満たされた。



ありがとうございました。

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