おぞましき深遠から現れし液体を飲まされるもの
ああ! 私はなんという不幸に見まわれているのだろう・・・ 眼下には、並々と液体をたたえる食椀が置かれている。 これからこの中の液体を飲まなければならない、いや私が嫌だといっても飲み干すという責め苦を味あわなければいけないのだ、畜生どものてによって! 神の実存を信じたくはないが、私はこういいたいー神よなぜ私を見捨てたのですか。
椀の中にたっぷりと入っている液体は、およそ人類の口にあおうはずがない。物語に出てくる魔女の作る怪しげな薬といっても決して言い過ぎということはないだろう。
液体は名状しがたき存在だ、どのようなものかといえば色は内容物との影響か茶色をしており、それだけでも人間が飲めるものではないと知れる。中に入っているものもおぞましいの一言につきる。地獄の釜の縁から現れたのだろうか?
ああ!
白い物体が見える。形は四角形であり、如何にもぶよぶよした感触が窺え事実弾力に富んでいる。そのさまは私の脳裏に否応なしに脳みそを連想させる。白い物体ばかりではなく、遥かにおぞましい物体も浮かんでいる。緑だ、緑色なのだ。緑色の藻ともくさともつかぬ植物と思わしき物体が液体の上に浮かび、 ところせましとばかりに密集している。このような正体不明の植物を飲まねばならないとは、本能的に気が狂いそうになる! 誰しも体に得たいの知れない異物を取り込むことに、恐ろしさを感じるはずだ? 私の味あった恐怖は、同じことを他の人にも想像してもらえば理解してもらえるだろう。
こんな液体は、飲みたくはない。とはいえ飲みたくなくとも半強制的に飲まされてしまうのだ。ああ、いつまでこのおぞましき液体にとりつかれ続けるのだろう。
無情にも飲み干すよう促す悪魔の声が聞こえてくる。
「好き嫌いなく、味噌汁を飲むのよ。」と。