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Ⅲ
ウリエルの小馬鹿にした言葉にミカエルの片眉がピクリと動く。
「そういうことだから、逃げろと言っているんだ、チヅキ」
「逃げない」
キッパリと、ウリエルに対して否定の言葉を告げるチヅキに、何故だ、という表情をするウリエルとミカエル。
「オレは逃げるわけには行かないんだ、悪いけど」
「チヅキ?」
怪訝な表情をウリエルがするのも無理はない。
危険だと言っているのに、チヅキは笑みを浮かべて「逃げない」と言っているのだから。
「あんたの目的の場所への案内人だからね」
「────」
チヅキが逃げない理由を知ったウリエルが息を飲むのがわかる。
同時に、彼が集落から離れたこの場所にいた理由にも納得する。
「────〈扉の一族〉なのか」
「正解」
にっこりと満面の笑みで肯定するチヅキにウリエルは手を差し出す。
瞬間、ミカエルの「ウリエル!!」という叫びが聞こえたが、それと同時に二人はその場から消えてしまう。所謂、空間移動したのだ。
「逃がしはしない。絶対に殺す!」
歯ぎしりをし、ミカエルもまたその場から消えた。